23話 隣を歩かせて ページ24
「煙上さん!」
『鎹鴉、報告。あとは、ごほっ』
咳をしただけなのに、口からは血が飛び出してきた。あ、これは肺がやられたのかと思いながらも血を拭った
「血が…煙上さん、血が止まってないです!早く蝶屋敷に行きましょう!」
善逸君は必死に私に言ってくれた。この状態だと私は蝶屋敷まで持つかわからない
私の肩を伊之助君と善逸君が持ってくれて、炭治郎君は鎹鴉に道を案内して貰うそうだ
『…私の家、でもいいかな?』
蝶屋敷まで行っても私は自分の家で最期を過ごしたいと思った。私はわかっている。もう命が短い、内蔵から骨までが毒にやられて悲鳴をあげているのがわかる
「…わかりました。鎹鴉には伝えます」
炭治郎君はそれを認めてくれた
道を歩いているときも私は喀血をしていた。戦いの途中の吐血とは違う血の色。さっと血の気が引いていく
『ごめん』
隣の二人に謝ると、涙声の善逸君は大丈夫ですと言った
「桜餅…作る」
『そうだね、作らないと』
伊之助君はいつもよりも、小さな声でそれも涙声で言っていた。約束した桜餅作り
家に戻ってこれて、布団の上に倒れるように転がった。禰豆子ちゃんも私を心配していて頭を撫でてあげた。
気が遠くなったりしている時に、しのぶさんが額に汗を滲ませて駆け付けてくれた。検査を受けたが、私の傷が酷いのと肺から蝕まれていて、血鬼術の薬を飲んでも治るか怪しい事だった。
咳をすれば血が出て来て、精神がやられそうだ。肺も痛い
しのぶさんが炭治郎君達を連れて、部屋を出るのが見えて帰って来た炭治郎君達は涙が溢れそうになっている
「煙上さん」
『桜餅……作れそうに、ないや……三人とも、仲良くしてくれて…ありがと』
三人は涙を溢していた
「姉上!」
『千寿郎君』
鎹鴉の伝えで千寿郎君がやって来て泣きそうな顔をして私を覗きこんでいたので、そっと頬に手を添えた
『そんな顔しなくていいんだよ。笑って…』
「姉上っ」
千寿郎君は私の手をずっと握っている。私もだんだん眠くなってきている。もう一度死ぬのかな…一度死んだことを思い出してあのときの痛みとは今回は違うかもしれない。千寿郎君を残していってしまうのは胸が痛む。ごめんね、千寿郎君
急に杏寿郎の後ろ姿が見えた
『杏寿郎!』
杏寿郎の背中を追いかけていく。もう少しで杏寿郎が振り向いてくれる
杏寿郎の笑顔、久しぶりに見たいよ。
私、杏寿郎のお嫁さんになったんだよ。だから隣を歩かせて
私は目を瞑った
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黒マル(プロフ) - ゆきなさん» アニメの冨岡さんの速さを参考にさせて頂いてます!鬼殺隊の運動神経は凄いですよね! (2020年3月30日 20時) (レス) id: 8875ef1e2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - きさつたいって脚早いし強いですね (2020年3月30日 3時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
黒マル(プロフ) - ゆきなさん» 感想ありがとうございます!言葉が見つからず泥棒になってしまいました…。文章力をつけていかないとダメですね。お気遣いありがとうございます!更新頑張ります (2020年3月29日 15時) (レス) id: 8875ef1e2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 泥棒ではない…かな?…まぁいっか!これからも無理せずに頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年3月28日 1時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒マル | 作成日時:2020年3月14日 11時