15話 いってらっしゃい ページ16
『杏寿郎!』
「A!」
お館様のお屋敷から帰る途中に杏寿郎を見つけて、駆け足で彼に近付いた
『杏寿郎、任務?』
「ああ!列車で人がいなくなる原因を突き止めなくてはならない」
『鬼が出るの?』
「そうかもしれないな…」
今朝の夢が私の脳裏を横切って、思わず彼の羽織を掴んでしまった。そして、私は行かないでと、呟いてしまった
「ん、どうした?Aらしくないな」
嫌なんだ、杏寿郎が私の傍からいなくなるのは。それに、あんな夢が現実になったらどうしようかと思ってしまう
『その任務、どうにかできない?代わりに私が行くってお館様に』
私の頬に大きな手を添えられた
「Aはまだ肩の傷が完全には治ってはいないだろう?それに誰かが行かなくては、ずっと人がいなくなったままだ」
その杏寿郎の温かい手に私も手を添えた
「約束した通り、Aにこれ以上は心配はかけない」
近付く杏寿郎の顔、私はそっと目を閉じる。優しくて杏寿郎らしくはない穏やかな口づけ。
「そんな顔をしては、これ以上の事をしたくなる」
私は杏寿郎の温もりを1秒でも感じていたかった。そう言われて引き離されそうになった時に、彼の腕にしがみついた
『いいよ……杏寿郎なら』
杏寿郎は腕を私に絡ませる
「全てが終わってから…君を抱く」
『うん』
また口づけをした。さっきよりも少しだけ激しい。
私から離れるといつも通りの大きな目を細めて笑った
「よし、行ってくる!」
『気を付けて…いってらっしゃい』
その大きな背中を見えなくなるまで見送った。
胸騒ぎがするのは気のせいか。そう言い聞かせて、杏寿郎を見て羽織りの袖に残る残り香を嗅いだ
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黒マル(プロフ) - ゆきなさん» アニメの冨岡さんの速さを参考にさせて頂いてます!鬼殺隊の運動神経は凄いですよね! (2020年3月30日 20時) (レス) id: 8875ef1e2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - きさつたいって脚早いし強いですね (2020年3月30日 3時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
黒マル(プロフ) - ゆきなさん» 感想ありがとうございます!言葉が見つからず泥棒になってしまいました…。文章力をつけていかないとダメですね。お気遣いありがとうございます!更新頑張ります (2020年3月29日 15時) (レス) id: 8875ef1e2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 泥棒ではない…かな?…まぁいっか!これからも無理せずに頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年3月28日 1時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒マル | 作成日時:2020年3月14日 11時