【奴良組】この手に掴んだ幸せを。【ぬらりひょんの孫/男主】

幸せ90 ページ49

緩やかに目を開くと、もうとっくに太陽は高々と昇っていた。



「っだっる…。」




体内に残った酒が

朝が苦手な体を余計に鈍くさせる。


顔に張り付いた髪を払いながら、昨日を思い出す。




祝ってくれた皆、美味しいご馳走、初めての酒…






“鯉伴「心の底から愛してるぜ、A。」”






「…っ!」



思い出して急に恥ずかしくなる。

ほんっとうに、どうかしてる…。



親父も、俺も。



「…酒で見た夢とか、そんな訳…」


鯉伴「ねぇだろう。」


「だーよーねー。」



隣でくあぁ…と欠伸をする親父の声に

思わず両手で顔を覆う。




「はぁ…。

俺は母さん達にどんな顔して会えば…」


鯉伴「フツーでいいじゃねーか。」


「何で一番焦るべきアンタが余裕綽々なの?」


鯉伴「俺は人生悔いなく生きてるからねぇ。」


「そりゃ随分楽しそうですね!!」



ここまで堂々としてると逆に俺が可笑しいんじゃないかって思えてきた…。

いや、絶対そんな事は無いんだけど。



再びため息を吐けば、障子の向こうから楽しそうな足音が近づいてきた。



若菜「A〜、鯉伴さ〜ん、もうお昼ですよ〜。

起きてる?」


リクオ「Aー、ご飯だよー。」


首無「二代目ー!今日こそは仕事して貰いますよ!!」


「うっわぁ来たぁ!!

しかも首無までいるんだけど!?」


鯉伴「おー起きてるぜー。」


「何の躊躇も無く開けやがった!!」




障子が開かれると、リクオと首無が中に入ってきた。




リクオ「あ、起きてる。

おはようA。」


「うん…、おはよ…。」


リクオ「？何で顔を逸らすの??」


「ゴメン、ちょっと…ちょっと待って。」


リクオ「??」


首無「おはようございます二代目今日はもう十分すぎるほどお休みなりましたよね?」


鯉伴「おはよう。

首無、あんまカリカリすんなって。体に毒だぜ?」


首無「誰のせいだと思ってるんだ!!今日こそは働いて貰うぞ!!!」


鯉伴「あ、そうそう若菜。」


首無「オイ!!」


若菜「はい、何かしら?」



ニコニコ笑いながら首をかしげる母さんに

親父はサラッと言ってのけた。



鯉伴「俺、Aにも惚れちまったんだが、許してくれるかい?」






その言葉に、世界の時が止まった＿＿＿＿＿。

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