【奴良組】この手に掴んだ幸せを。【ぬらりひょんの孫/男主】

幸せ46 ページ4

鯉伴「なんだってあんな馬鹿なマネしやがったんだ!!

死ぬところだったんだぞ!!」



「な…っ」



鯉伴「ガキがあんな無茶しやがって…!!

死んだらどうするつもりだったんだ!!A!!」






馬鹿な、マネ…?
んだよそれ…っ、俺だって、必死だったのに…!!


そう思うとむかむかと腹から喉にかけてこみあげてくるものがあって

俺は我慢しきれずにそれを吐き出した。







「何が、悪かったんだよ!!確かに無茶したよ!!

でもっ、でも…っ


ああでもしなきゃ親父は死んでたじゃないか!!


親父の方こそ、死んだらどうするつもりだったんだよ!?

母さんやリクオやじじい…っ、奴良組のみんな悲しむじゃんか!!


俺はそんなの嫌だった!!あの夢みたいになるのなんて嫌だったんだ!!」



鯉伴「だからってテメェが死んでいい訳がねぇだろうが!!」



「じゃあ他にどうすればよかったんだよ!!

俺は…っ、あの時、必死で…!!」






そこまで言ったところで、言葉が詰まった。

その代わり、涙と嗚咽がこぼれ出てくる。




違う。分かってる。自分が悪いってこと。

あの時“オレ”に散々教わった。


親父は俺のこと心配してくれてた。分かってる、そんなこと。


でもっ、でも…っ





悔しさや怒りや悲しみやらがごちゃごちゃで

何が言いたいのか自分でもわからない。



でも、何か言いたくて、でも言えなくて。

言葉の代わりに出てくる涙をぬぐいながら、自分への情けなさに拍車がかかった。




なんで俺は、こんな事しか出来ないんだろう…。





鯉伴「・・・お前が刺された時、頭が真っ白になった。」


「!!」





親父は、さっきと違って静かに、

静かに語りかけてきた。





鯉伴「腕の中でどんどん重く、冷たくなっていくお前に、俺は情けねぇ程取り乱した。

このままお前が死んじまったら、俺はどうすればいいんだ、ってな…。」





その恐怖は、知ってる。

夢の中で、何度も味わった。



親父も、同じ気持ちだった…?





鯉伴「俺は、お前に守られた…。

親だというのにな…。情けねぇぜ、ったく。」






ふわり、周りがあたたかくなる。


大好きなにおいと温もりが、俺を包んだ。






鯉伴「目を覚ましてくれて、本当に良かった…。


守ってくれて…

生きててくれて、ありがとよ、A。」



「…あ、っあ、あ」







俺はついに、大声をあげて泣いた。


しがみついた親父の胸からは





心臓の音が




生きてる音が、聞こえていた＿＿＿。

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