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幸せ53 ページ11

俺は首無の胸に顔をうずめたまま

ポツリぽつりとあの夢の事を話した。




途中で怖くなって言葉に詰まった時は

首無が「大丈夫ですよ。」と声をかけてくれた。





話をしている間、首無はずっと俺の手を握っててくれて

それがたまらなく安心だった。





全部話すと、じじいは顎に手をやって「ふぅむ」と唸った。





ぬらりひょん「あの神社で…、鯉伴が少女に殺される夢、か…。


その夢と現実が重なり、それを止めるためAはあんな無茶をした、と。」


鯉伴「…予知夢、ってやつかい?」


ぬらりひょん「恐らくはそうじゃのう。



わしの妻、珱姫も不思議な力を持っておった。



その子であるお主にその力が受け継がれた様に

孫であるAに何らかの力が備わっていてもおかしくはあるまいよ。」


「…ようひめ?」






俺はその言葉がどうにも引っかかって、思わず問いかけた。





ぬらりひょん「ん?おお、そういえばまだ教えとらんかったのう。


お前達のばあさんの名前じゃよ。




京一の美女・珱姫




人の傷を癒す力を持った、美しく優しい女じゃった…。

わしが唯一、愛した女じゃ。」





じじいの昔話によく出てくる、「ばあさん」の存在。

名を聞いたのは、初めてだ。




でも俺にはその名前が、とても懐かしく感じられた。




「写真とか、ないの?」


ぬらりひょん「無いのぉ。あの時代にはそんなもの無かったからのぅ。」


「ねぇ、じゃあ、どんな人だったの?」


ぬらりひょん「ん?長い黒髪に白い肌、幼げなまあるい瞳が愛らしい絶世の美女だったが…」


鯉伴「まぁ〜た始まったぜ、親父のお袋語り…。

こうなるとなげぇんだ。


つーかA、どうした急にばあさんの話なんて。」






長い黒髪…


幼げな顔立ち…



俺のお、ばあさん…






「・・・会った。」


鯉伴「ん?」


「俺、その人に、会った。」


鯉伴「なに?」


首無「わ、若?」






困惑した顔を向ける三人をよそに



俺は思い出した。







“さ、私と一緒に行きましょう?”




差し出された手を




“家族が、貴方を待っていますよ。”




優しく、力強い声を




“珱は誰より、幸せです___。”




幸せと愛に満ちた、綺麗な笑顔を








「助けて、くれたんだ。



連れて来てくれた。





…あの人、だったんだ__。」






ふわりと吹いた風が、どこからか桜の花弁を運んできた___。

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紗那(プロフ) - 久しぶりに《この手に掴んだ幸せを》を一気に読み直したのですが、やっぱりstoryや展開などが大好きです(*^◯^*)更新停止になっているみたいですが、もう更新されないのでしょうか・・・・?更新されるのを待ってます(>人<;) (1月28日 17時) (レス) id: a0235214a5 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めっっちゃくちゃに好きです。大好きですガチ萌えます!!!本当に最高すぎます!!!!もう更新されることは無いのでしょうか……?続き楽しみに待ってますm(_ _)m (12月11日 18時) (レス) @page50 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すっごく、萌えます!!めっちゃ続き気になります! (9月25日 0時) (レス) @page50 id: 1fc4502f62 (このIDを非表示/違反報告)
ポッチ(プロフ) - めっちゃ好こです。男色もストーリーも大好きなので何度も読み返してしまいます。更新はもうされないのでしょうか? (5月24日 11時) (レス) id: bc736021f3 (このIDを非表示/違反報告)
れもん - おわーーー!!好きです!好きすぎます!!!このままリクオも混ざって…まさか若菜さんが…良いですね!!!!!鯉伴様もカッコ良すぎる!!続き、待っております!でも、無理はなさらないでください! (2022年10月25日 1時) (レス) @page50 id: 4d12249e4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年4月10日 15時

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