【暗殺教室】無気力で眠そうな君のみる夢 II

こわいものの時間 ページ28

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暗い玄関に、何かがぎゅっと溢れそうになって、後

ろの壁に背中を押しつけた。



渚君の持って来てくれたお見舞い。




アイスクリームだった



目からポロって涙が出た




なんでこんなことになったんだっけ




あの日の寺坂の顔が浮かぶ




寺坂のばか



みんなが川に流されなければ



ちがう、自分が川に入らなければ。



大切ができなければ


ちがうちがう、作らなければ。




やっぱり自分のせいじゃん




とりあえずふらりと立ち上がって冷凍庫にアイスク

リームをしまう



水で涙を飲み込むと、ちょっとむかむかがひく。




そのまま外に出てみる。





とは言っても、通学路くらいしか馴染みのない自分

にはやっぱり向かうのは学校くらいしかないけど





そうやってやって来たのはついこの前泳いだ川




『ドMじゃないよね…』



わざわざみたくもない川に来るなんて



もう回り回ってどうしたらいいかわからなくなって

逆に冷静なのかもしれない



ぼんやりと流れる水をみてああやっぱりこわいなな

んて思う



でも思っていたより吐き気も頭痛も襲って来なくて




ちょっとだけと、靴下も靴も脱ぎ捨てて水に足をつ

けるあたりやっぱりドMなのかな



水面に反射する太陽が目に刺さるみたいに痛い




すっかり暑くなった気温と、自分だけ脱げない長袖




でも





やっぱり、水はもうそんなに拒否反応は起こらない





あの日だって泳げたんだ。




ならこの吐き気と頭痛の理由は






『ともだちかなー』





カ「渚君が？」





『なんだカルマ君かー』




カ「水、こわいんじゃないの？」




『そうかもねー』




カ「なんで？」





『おぼれたことがあるから』







仲良さげにならんで歩く子どもたちに、



夕焼けのなか、みんなが家を目指してかえる時間



響いた悲鳴には誰も気づかない。

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