何もかも手放して、そして手に入れた。

Trip story 20 ページ22

沖矢 side


…瑠璃神。

最近引っ越してきた少年。

頑なに本名を名乗ろうとしない、怪しげなやつだ。

へらへらと笑って、本心を悟らせない。
ただの平凡な子供に見えて、どこか異常な雰囲気を醸し出している。


…面白い。

「どうしたの沖矢さん。」

「…いや、面白いと思ってね。」

「ルリお兄さん？」

「ああ。」

「怖いでしょ。ああ見えて。」

驚いて自分より何倍も小さい子供を見ると、あの少年へのと興味と好奇心、そして恐怖が顔を彩っていた。


「…確かに、怖いな。」


君にそんな顔をさせることができる彼が。








ルリside


…服を買ってきたはいいけど、これからどうするよ？

本名教えなかった時点で疑われてるよなぁ…

ま、いいや。
そんときゃそんときだ。

まず、俺のやることを整理しなきゃ…

１、ストラップの紐を作る
２、小町をさがす
３、あいつらをなんとかかわす

３はちょっと無理な気がする。

…どうしよ…
いや、ほんとどうしよ。


関わらないようにって本名隠したの、完全に仇になってるよなぁ。



…あいつらは多分、俺の正体を知るために俺の人探しに協力するだろう。
予想はつく。


俺としては、早く小町が見つかるのは嬉しい。

だけど、探られてんのはいい気しねーな。



今度聞いてみるか。

協力するかどうかを。

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