第一話 或る過去の夏の日 ページ2
俺、忍霧ザクロは我ながら妙な体験をしたなと思う。
この物語が進む為に、俺は今から、その体験したことの話をしよう。
あれは…或る夏の日の事だった。
*○*◇*●*○*▼
俺は中学三年生の夏休みを迎えていた。
このクソみたいに暑い中、受験生は勉学に励む。
俺もその一人だった。
だって友達と遊ぶなんて選択肢は無いし、彼女と…なんてもっての他だった。
俺は、女が嫌い…と言うか、苦手だ。今までもこれからも、俺が女に触れる事ができるのは、妹のサクラと母さんだけだろう。
「ふぅ…」
一段落着いたので、椅子から腰を上げる。
ダメだ。運動不足過ぎる。外へ出てジョギングでもしようか…等と考えていると、バン!とドアが開いた。
「おにぃちゃん!勉強どう?」
「サクラ…」
今来たのは、俺と同じ髪色をしていて、肩まで伸ばしている、妹のサクラだ。
「急にドア開けるなって、いつも言ってるだろ…」
「へへっ、御免なさい。で?どう?」
全く、ちっとも反省しないんだ。サクラは。
「まぁ…一段落着いたとこだけど…」
すると、サクラの顔がキラキラした。うっ…この顔は…
「じゃぁ、一緒にゲームしよ!」
そんなことだろうと思ったが…
「いいよ、ちょっとだけだぞ」
断れないんだ。サクラの事は。
「やったぁ♪」
サクラは大げさ過ぎるほど喜ぶ。
俺達兄妹はそうなんだ。お互いがお互いに依存している。
妹は…サクラは俺から離れるのを極端に嫌うし、俺もサクラ以外とは、あまり喋らない。
ちょっと風変わりな兄妹。それが俺達だった。
*○*▼*●*○*△
サクラとゲームして、ジョギングに行くことにした。
サクラは別にそんなの行かなくても…と言ったが、俺がしたいんだと言うと大人しくなった。
適当な服に着替えて、玄関からでる。
出た瞬間に熱い日射しが差して、夏特有の蒸し暑さが体を襲った。
(暑いな…)クーラーをつけていると気付かないが、俺が実感するよりも、もっと前に夏は訪れていたのだろう。
(勉強ばっかするもんじゃないな…)
ー…適当に、気の向くままに歩いてみる。
俺は地理感覚だけは優れているから、中々の事がないと迷わない。
しばらく歩いていると、小さい林のような物を見つけた。
(こんなものあったけ…)
吸い込まれる様に、俺は林の中へ足を踏み入れた。
一歩、一歩と踏み出していくと、蝉の音が強くなっていく。暑さも、どんどん。
それでも、その奥にあるものが知りたくて、俺は歩き続けた。
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(名前)アカツキ トワ(プロフ) - おぉ、お仲間ですね(( ありがとうございます(^○^)頑張らせて頂きますw (2017年1月1日 9時) (レス) id: 918c5540c3 (このIDを非表示/違反報告)
冬乃 - 私も同じことしたことありますw次の更新、楽しみにしてます! (2017年1月1日 8時) (レス) id: 92c1726b4d (このIDを非表示/違反報告)
(名前)アカツキ トワ(プロフ) - そうなんですか笑 ありがとうございます(^○^)嬉しいです!頑張りますねキリッ (2016年12月31日 22時) (レス) id: 918c5540c3 (このIDを非表示/違反報告)
花藺 - いえいえ、私もおんなじことしたことありますから。更新、楽しみにしてますね。 (2016年12月31日 22時) (レス) id: b5c79c655b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)アカツキ トワ(プロフ) - 外しました~。ご迷惑お掛けしてすみません(;o;) (2016年12月31日 21時) (レス) id: 918c5540c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ トワ | 作成日時:2016年12月26日 21時