▼ ページ9
「今から…！？絶対呼ばなきゃいけないですね」
「そしたらさ〜、肉チョモハウスからおでん鍋持って来てここでやろうよ！」
「うわっ、絶対楽しいじゃないですかぁ…！！」
はしゃぐ3人をぼんやりと見つめながら若干冷めた焼き鳥をつまむ。
あらきはツアー真っ只中、めいちゃんはライブのゲストや自分の制作で忙しく走り回って、マヨはライブ前の打ち合わせやレッスンで日々忙しく、こうして4人揃ってのんびりと食卓を囲むのは久々だった。
3人のくだらない会話が心地良くて話に耳を傾けながら目を閉じる。
ぬるい夏風が頬を撫でて、遠くで花火大会帰りの人々の賑やかな声が微かに聞こえた。
「あ！ねぇ！シメに花火しよーよ！！」
俺のしめやかな気持ちをぶち壊したのは酔っ払っためいちゃんの馬鹿でかい声だった。
「花火ですかぁ？」
「…何？手持ちのやつ？」
いいけど、誰が買ってくるんだよ…、と言う前にめいちゃんが自分のトートバッグを漁る。
「そう！俺買って来た！」
じゃじゃーん！！！と効果音を口にしながら嬉しそうに花火セットを掲げるめいちゃんの表情は少年そのもので…
やっぱりガキだな、って思った。
「めいちゃん、こういうの好きだよね」
「うん、好き〜」
「手持ち花火なんて久々だよ」
「俺も！ね〜！！なるせとあらきさんもやろうよぉ！」
「はいはい、後で参加しますよ」
「も〜！絶対だからね！！」
あらきの言葉に頬を膨らませためいちゃんの横でテキパキと花火の準備を進めるマヨ
隠し切れていないワクワク顔に思わず笑ってしまった。
「マヨ〜、火傷するなよ〜？」
「はぁい」
「マヨ、火点けてあげる」
「ありがと」
「「きゃ〜〜っ！！」」
「ちょっ！マヨあっち行って！」
「あらきさん！なるせ！みて〜！！」
手持ち花火の輝きで空中にハートを描くマヨ
「うん、みてるよ」
「きれいですよ…！」
歳下組は花火にはしゃいで俺とあらきはそれをぼんやりと見つめていた。
「アイツら本当仲良いよなぁ」
「そうですねぇ」
少し離れたところで花火をする2人を眺めながらぬるくなった缶チューハイを傾ける。
ふわりと風に乗って香る火薬の匂い。
あぁ、なんか幸せだなって思った。
隣を見るとあらきも同じことを思っていたのか目が合って笑い合う。
「…夏、ですねぇ」
「だねぇ」
まだ暑さの残る夜風に吹かれて、花火にはしゃぐ歳下組の姿を眺める。
そんなゆるい日常の延長が俺たちの少し遅れた夏の思い出のひとつになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 516人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うたたね(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます☺️✨楽しんでいただけたようで幸いです💕 (10月1日 16時) (
レス) id: 6910b7a819 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白すぎて一気に読んでしまいました😍‼️幸せの具現化すぎて、一生読んでたいです😭🙏🏻 (10月1日 11時) (レス) @page20 id: 0439cd6fa9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うたたね | 作成日時：2023年6月24日 21時
