+18.あまやかし ページ30
【side:nrs】
作業に行き詰まってしまった。
いくら頭を捻ってもいいアイデアは出ないので、気分転換に散歩へと向かう。
春みたいな日差しのあたたかさとは裏腹に頬を撫でる風は冷たい。
少し冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んでマフラーに鼻先を埋めて行く当てもなくふらふらと近所を歩く。
「さっむ…」
日陰は流石にさみぃな…
少し先にコンビニがあるのに気が付いて吸い込まれる様にコンビニの中へ…
特に目的もなく入ったコンビニ
店内をうろうろしていると目に入った新商品のスイーツ。
(Aの好きな味だ…)
ライブを目前に控えて頑張っているAのために新商品のスイーツを買って店を出る。
家に帰ってパッケージにマジックで「A」と書いて冷蔵庫に内緒で忍ばせた。
我がシェアハウスでは食べられたくない物には名前を書くのが鉄則だ。
名前を書いていないからと言って勝手に食べられる事はほとんどないけれど、時々買ってきた物が被ったりするのでどれが自分の物か分からなくならないように記名が義務付けられている。
【side:mey】
「え？何これ」
冷蔵庫を開けると中段のど真ん中にコンビニのカップスイーツが置かれていた。
しかも何故かなるせの字でデカデカと「A」の名前が書かれている。
「それ、Aのだから食うなよ」
「いや、見りゃわかるけどさ」
どうしたの？と俺の後ろでコーヒーを淹れるなるせに問い掛けるとしれっとした顔で「Aが好きそうだったから」と答えた。
なるせの言う「A、これ好きそう」の正解率は異常だ。
なるせは適当に見えて案外周りをよく見ているし、好みをちゃんと覚えているマメな男だ。
こいつはこうやってAからの好感度を上げているのか…
しかも、しれっとした顔でやってのけるのが尚悔しい。
「…ずりぃ〜」
何食わぬ顔でコーヒーを注ぐなるせを見ながらボソッと呟くと、俺のぼやきが聞こえたのかなるせがゆるく笑う。
「なに？お前もコーヒー飲みたいの？」
「…違うけど！コーヒーはもらう」
「はぁ？意味わかんね〜」
そう言いながらも食器棚から俺の分のマグカップを出してくれるなるせ
なんだかんだ言って優しいんだからマジでズルいよなぁ…
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うたたね(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます☺️✨楽しんでいただけたようで幸いです💕 (10月1日 16時) (
レス) id: 6910b7a819 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白すぎて一気に読んでしまいました😍‼️幸せの具現化すぎて、一生読んでたいです😭🙏🏻 (10月1日 11時) (レス) @page20 id: 0439cd6fa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うたたね | 作成日時：2023年6月24日 21時
