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残りの時間は楽屋で大人しく会場を映すモニターを眺めて過ごした。
開場時間になるとパラパラと埋まり始める客席。
この後、自分が画面に映るステージに立つなんて本当だろうか？長い夢かもしくは映画でも観ているような気分だ。
(現実味がないなぁ…)
・
開演前に円陣を済ませて、ついにライブが始まった。
前半組のライブも中盤に差し掛かりそろそろ自分の出番。
ひとり舞台袖へと向かう。
「あ、マヨさん」
「あ、あらきさん…」
舞台袖に辿り着くと既にあらきさんの姿があった。
あらきさんは私の次が出番なのに少し前からここに居たらしく舞台袖のパイプ椅子に座って寛いでいた。
流石時間に余裕を持って行動する男、あらき。
「あの、マヨさん…『イマダマヨウさん、次出番です！』
「あ、はい！…あらきさんすみません」
「いえ、頑張って下さい」
「ありがとうございます」
あらきさんとの会話もそこそこに舞台袖、観客席が見えるギリギリの所へ立つ。
前の出演者さんの曲が終わり、鳴り止まない拍手が響く。
暗転
ステージモニターに私の名前が映し出される。
沸き立つ客席
バンドメンバーによる登場の演奏。
(どうしよう…緊張してきた…)
今になって、マイクを持つ手と脚が震え出す。
(やばい…)
震えを抑え込もうとギュッと目を瞑る。
「背中、叩きましょうか？」
その声に振り返ると背後にあらきさんが立っていた。その距離の近さとこの状況にすら気付いて居なかった自分の余裕のなさに驚いて情けない声が出た。
「へ…？」
「前はよくやってたでしょう？緊張を吹き飛ばすおまじない」
「…！」
そうだ。
いつもステージに立つ前は周りのメンバーと背中を叩き合って緊張を吹き飛ばしていた。
「お願いします…！」
「りょーかいっ！！」
バシンッ、と大きな衝撃が背中を走る。
「いったぁ〜！！？」
「ほら、みんな待ってますよ」
あらきさんが指差す客席に意識を向ける
手拍子と私の名前を呼ぶ声がする。
「いってこい…！」
背中を優しく押されステージの上に立つ。
沸き立つ客席
見渡せば白一色のペンライトの海
拍手と歓声
高鳴る鼓動が心地良く響く数年振りの感覚
私の名前を呼ぶ声がより一層大きく聞こえる。
もう緊張は解けていた。
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描写ではマヨちゃんのイメージカラーはシルバー(白)ですがお好きな色を脳内変換して楽しんでください。
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うたたね(プロフ) - あいらいんさん» あいらいん様 コメントありがとうございます😉あと少ししたら登場していただきますのでお楽しみに…！ (2023年4月2日 23時) (
レス) id: 6910b7a819 (このIDを非表示/違反報告)
あいらいん - このお話大好きで毎日楽しみにしています！nrsちゃんとの絡み楽しみです！いつもありがとうございます！ (2023年4月2日 22時) (レス) @page26 id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
うたたね(プロフ) - 庭様、梓月様、もく様 コメントありがとうございます。励みになります…！これからも楽しんでいただける様に頑張ります☺︎ (2023年3月23日 21時) (レス) id: 6910b7a819 (このIDを非表示/違反報告)
もく(プロフ) - うたたねさんの書かれる文章がとってもとっても大好きなので更新とっても嬉しいです;;これからも応援してます！ (2023年3月22日 20時) (レス) @page14 id: 3fd6a15bc8 (このIDを非表示/違反報告)
梓月(プロフ) - ...8000字ですか｡本当にすごいですね。諦めず書いてくれてありがとうございます。これからも頑張ってください。応援してます！ (2023年3月22日 19時) (レス) @page14 id: 4db26ed0f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うたたね | 作成日時：2023年3月3日 18時
