8. ページ9
全体曲の確認後もあらきさんがスタッフさんに話しかけられている隙にそそくさと逃げた私は会場の非常口から出て屋外の非常階段へと避難していた。
(あらきさん、怒ってないっぽいけど捕まりたくないなぁ…)
一対一で面と向かって話をしたらやっぱり怒るかな？
確か人生で2回しか怒った事がないって昔言ってたけど、これは流石に…
「怒るよなぁ…」
非常階段の手すりにもたれかかって会場の外を眺めるとちょうど物販と会場入り口が見える。
お客さんが沢山居た。
この距離では私が誰かなんて分からないだろうけど、物販を終えたお客さんの何人かがこちらを指差して大きく手を振っていた。
無視するのも悪い気がして手を振り返して非常階段を後にする。
丁度メイクの時間だったのでメイクルームへと向かう。
・
「マヨウちゃん久し振りねぇ」
「はい、お久し振りです」
「相変わらずお肌が綺麗ね」
「ありがとうございます」
偶然にも担当のメイクさんは昔と同じ方が現場に居たので今回もお願いする事になった。
「今回は髪はシルバーじゃないの？」
「あ、そういえば…」
4年前の私は立ち絵をシルバーブロンドに描かれる事が多く、ライブの際はウィッグを被ったりメッシュを入れたりして立ち絵に寄せていた。
今は社会人である為、なんの変哲もない髪色のままだ。
「これ、他の出演者さんに付けようと思ってた余りだけど…付けておく？」
メイクさんが見せてくれたのはシルバーブロンドのエクステ
「折角なのでお願いします」
「了解！可愛く仕上げるね！」
・
久々に見るシルバーブロンドのメッシュ。
普段の薄めのビジネスメイクとはかけ離れたキラキラの瞼と跳ね上げアイライン
鏡に写る私は《イマダマヨウ》になった。
「うわぁ」
「何よ、その反応は」
「こんなバチバチのメイク久々すぎて…」
「すごく可愛いわよ！」
「…ほんとですか？」
「勿論！私の腕を疑うの…？」
「いいえ、信じてます」
「うふふ、マヨウちゃんは素直で可愛いわね。ライブ、楽しんでね」
「はい、ありがとうございました」
メイクさんに背中を押され、少し前向きな気持ちでメイクルームを後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うたたね(プロフ) - あいらいんさん» あいらいん様 コメントありがとうございます😉あと少ししたら登場していただきますのでお楽しみに…！ (2023年4月2日 23時) (
レス) id: 6910b7a819 (このIDを非表示/違反報告)
あいらいん - このお話大好きで毎日楽しみにしています！nrsちゃんとの絡み楽しみです！いつもありがとうございます！ (2023年4月2日 22時) (レス) @page26 id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
うたたね(プロフ) - 庭様、梓月様、もく様 コメントありがとうございます。励みになります…！これからも楽しんでいただける様に頑張ります☺︎ (2023年3月23日 21時) (レス) id: 6910b7a819 (このIDを非表示/違反報告)
もく(プロフ) - うたたねさんの書かれる文章がとってもとっても大好きなので更新とっても嬉しいです;;これからも応援してます！ (2023年3月22日 20時) (レス) @page14 id: 3fd6a15bc8 (このIDを非表示/違反報告)
梓月(プロフ) - ...8000字ですか｡本当にすごいですね。諦めず書いてくれてありがとうございます。これからも頑張ってください。応援してます！ (2023年3月22日 19時) (レス) @page14 id: 4db26ed0f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うたたね | 作成日時：2023年3月3日 18時
