短編集【anm】 (ページ10)

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酔っ払いの小悪魔(nrs) ページ10

※前作の『飲み会の後、』の続きでnrs視点です。
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ついさっきまで震えて涙を浮かべていた彼女は「なんかムカついてきたから飲み直す！」とコンビニで缶チューハイとおつまみを大量に買い込んで俺の腕を引いて自宅へ帰ってきた。

「ねー、飲み過ぎ…！」
「なるせくんものんで〜」

帰ると言う俺を半ば引きずるように家にあげて缶チューハイ一本でくだを巻いているA。
さっきの一件もありほとんど酔いが覚めた俺は彼女の可愛いお誘いを懸命に交わす。

「俺は飲まないよ、帰れなくなるもん」
「だめ〜、おとまりしていいからさぁ〜」
「いや、そんな事したらAの彼氏に怒られるでしょ」

楽しそうに飲んでいたAの唇が拗ねるように尖る。

「…わかれたもん！」
「は？」
「このあいだ、わかれましたぁ！」
「え？マジ…？」

ふん！と顔を顰めて分かりやすく拗ねる彼女にバレない様に思わずニヤける正直な口元を咄嗟に隠す。

「マジですぅ〜！だからおとまりおっけーで〜す！」
「いや、OKではないでしょ…！」

徐ろに立ち上がると、クローゼットの中から新品の男性物の下着とスウェットをポイポイと投げ出すA。

「はい、おとまりせっと」
「いやいやいや…！」
「かのじょさんにおこられる？」

こてん、と首を傾げる彼女。
俺のキャパシティが限界に近いので、これ以上可愛いを乗算しないで欲しい。

「いや、居ないから怒られないけど…」

流石にまずいっしょ…、と割と真剣に焦る俺を見て噴き出すA。

「あはは！なるせくんにカノジョいないのは知ってる〜！」

けらけらと笑い転げる彼女。
俺が必死に耐えているというのにあまりにも無防備過ぎる姿にちょっとだけムカついて、テーブルに置かれたAの飲み掛けの缶チューハイを一気に煽った。