短編集【anm】 (ページ7)

今日:18 hit、昨日:54 hit、合計:62,359 hit

▼ ページ7

「え…？」
「俺じゃ、だめ…？」
「ちょ、ちょっと待って…！めいちゃんって私の事そんな風に思ってたの！？」
「うん」
「…いつから？」
「ずっと前、三股してた彼氏の頃から…」
「めっちゃ前じゃん…」

彼女の涙がぴたりと止まり、かわりに動揺の色が浮かぶ。

「…なんで？なんで私なの？」

「なんでって…、いっつもやめとけばいいのにってヤツに絆されて好きになっちゃって、こっ酷く振られて泣いてるのに『好きだった、大好きだった』って言う大分男を見る目が無いトコ」

「俺がずーーーーっとアピールしてんのに全然気付かないトコ」

「好きになったヤツの事一途に好き〜って言うトコ。Aのその気持ちが俺に向けばいいのにな〜ってずっと思ってた」

長年の思いが溢れ出して止まらない。
驚いた顔の彼女が濡れた瞳をまあるくしたまま固まっている。

「…俺の事、嫌いになる？」
「本当私って男見る目全然ないんだね！…めいちゃんの事嫌いになんてなれる訳ないじゃん。…これこそ絆されてるのかなぁ？」
「…そうかも」

Aの手にそっと触れて指先を絡める。
彼女の顔がより一層赤く染まる。

「折角の機会だし俺に絆されてみない？」
「…うん」

バレンタインの夜
俺はチョコレートなんかよりも価値がある、大好きな彼女の隣を手に入れた。

「俺、結構重いよ？Aの事、ぜーーったい離さないから！」