短編集【anm】 (ページ44)

今日:30 hit、昨日:55 hit、合計:62,317 hit

バスタオル攻防戦(nrs)＊ページ44

《リクエスト》
一緒にお風呂に入ることになった🍥
(死ぬほど慎重で紳士なので、何枚もバスタオルを彼女に巻く)

ここ数ヶ月、ずっと詰め込んでいた作曲活動がようやく落ち着いて、可愛い彼女が息抜きとお疲れ様の意味も込めて温泉旅行をプレゼントしてくれたので、2人で久々にのんびり温泉旅行！

…のはずだった。

「はぁ！？聞いてないんだけどぉ？」
「…言ってないもん」

温泉旅館に着いて早々、若干キレ気味の俺と拗ねた顔の彼女

「客室露天とか聞いてない！」
「だって、なるせに言ったら絶対却下されるもん！」
「そりゃそうだろ」

しょぼくれた顔をして唇を尖らせて俯く彼女
そんな可愛い顔しても俺は絆されないぞ！

「…なるせと一緒にお風呂入りたかったんだもん」
「ん゛……ッ、女の子がそんな事言っちゃいけません！」

ぜっっったいに絆されない！！！！

「…だめ？」

こてん、と首を傾げて上目遣いで俺を見詰める彼女
こんな卑怯で可愛い手に落ちない男ってこの世に存在するんか…？
居たら俺を助けて欲しい…

《彼女視点》

「…ただし、条件があります！」

今日の彼はなかなか強情なようで《一緒にお風呂に入りたい》という私のおねだりに条件を突きつけてきた。
その条件はバスタオルの着用
たったそれだけ
そんな簡単な条件をのむだけで彼と一緒にお風呂に入れるなら！と私は喜んでその条件を受け入れた。

・

客室露天に繋がる脱衣所で彼氏という名の検問に差し掛かる。
ちゃんとタオルは巻いたし条件はちゃんと満たしているはずだ。
意気揚々と彼の前で立ち止まると険しい顔をした彼がこう言い放つ。

「そんな一枚じゃだめっ！」

「え！？なんで！！？」
「水に濡れて透けたら困るでしょ！だめ！」
「えぇ〜」

不幸か幸いか、脱衣所には大量のタオルが準備されていて何枚使っても問題はなさそうだ。

(私としてはそれが問題なんだけど…)

不貞腐れた顔をしているとなるせの手によって私の身体にもう一枚バスタオルを重ねて巻かれ、次は肩が出過ぎだとフェイスタオルを肩にかけられ…
なぜか最終的にはほっかむりみたいにタオルを頭に被せられて顎の下で結ばれたあたりでなるせは納得がいったようだ。

「…っよし！」
「…ぜんぜんよくないよ！」
「いや！嫁入り前の女の子が無闇に肌を晒しちゃいけません！」
「も〜、いつの時代の話してるの？」