甘やかし(ark)* ページ22
なにもする気になれなくて電気が消えたままの部屋でソファーに寝転がって夕日が沈んでいくのをぼんやりと眺めていた。
「うわっ!びっくりしたぁ」
なにしてんですか、と驚いた顔で電気を点けたあらきさんが若干後退る。
「…あ、あらきさん。おかえりなさい」
「え、何してンですか?」
「落ち込んでます…」
「あらあら…今回は何が原因ですか?」
「んー、色々です」
「そっかぁ、色々ねぇ」
帰りがけにスーパーに寄って来たのだろう。
買ってきた食材を冷蔵庫に仕舞うあらきさんの背後を猫達と一緒について回る。
「こら、危ないですよ」
「んー」
「美味しいご飯作ってあげますから見てるならこっちで見ててください」
彼に手を引かれ、ダイニングチェアに座らされてしまう。
目の前にお茶の入ったマグカップを置かれて、いい子にしててください。なんて頭を撫でられる。
・
彼が手際よく料理をしているのを見ているのは気持ちがいい。
「生あらきズキッチン…」
「なぁに言ってンすか、いつもみてるでしょう?」
「まぁ、そうですけど…あらきさん、それは?」
「これー?これはAさんがこの間美味しいって言ってたやつですよ」
「え、やったぁ」
「あ、笑った」
「え?」
「Aさんは笑った顔の方が可愛いですよ」
急に彼の口から発せられた褒め言葉
素直に喜べなくてぶっきらぼうな返事をする。
「…なんですか急に」
そうですねぇ、なんて言いながら鍋をかき混ぜるあらきさん。
「色々悩むな、とは言いません。でも俺が一緒に居る時はいっぱい甘やかしてあげますから、あんま溜め込まないでくださいね?」
にこりと笑ってまた鍋の方へ視線を戻すあらきさん
悩み事があると誰にも話せないまま溜め込んでしまう私と、深くは聞かずともなんでもお見通しな彼
「も〜、あらきさんには敵いませんね…」
「そんな事ないでしょう」
あらきさんはそう言って笑うけれど、彼の優しさに何度救われた事だろう。
「…あらきさん、あのね」
「はい、なんですか?」
ぽつぽつと紡ぐ私の悩みの話を彼は相槌を打ちながら静かに聞いてくれる。
きっと彼はいつだって私の味方でいてくれるのだろう。
そう思うだけで心が軽くなった。
リクエスト《自暴自棄で病んじゃう主さんを癒すanm》
個々に書き終えてからこれはもしや3人でAちゃんを甘やかす感じだったのか…?と気付いてしまいましたがボツるのも勿体無いので載せておきます。
リクエストありがとうございました…!
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うたたね(プロフ) - 庭さん» ありがとうございます☺️💕 (2023年4月24日 20時) (レス) id: 6910b7a819 (このIDを非表示/違反報告)
庭(プロフ) - Donut最高でした2人ともかわいいです😭💕 (2023年4月20日 22時) (レス) @page21 id: 9b83d6d4ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うたたね | 作成日時:2023年2月11日 23時