黒の恋 (ページ28)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:1,534 hit

28　　　あなたside ページ28

那奈ちゃんは私の頭をなでて

「あんたにしてはよく頑張った」

って言ってくれた

・
・
・

目が赤いから顔を洗って来いと那奈ちゃんに促され

教室を出ようとした時

夜久君が教室に入ってきて

私の顔を見て驚いたように目を丸くして

私は色々なんとなく気まずくて・・・

うつ向いてそのまま教室を出ようとしたけど

私の腕はしっかり夜久君につかまれて

動けなかった

「どした？？？」

心配そうに聞く夜久君に

私は何と説明すればいいのだろう

クロを好きだと気づいて

私が頼んで夜久君がせっかく一緒に回ると言ってくれた学園祭を

やっぱりクロと回りたかったけど

クロは全然そんな感じじゃなかった

なんて言えない

何も言えずにうつむく私に

「大丈夫？」って聞いてくれる夜久君

・
・
・

「ごめんね、大丈夫だよ」

・
・
・

そう返すしかなかった

ふと腕をつかむその力が緩まったのと同時に

私は逃げるようにトイレに駆け込んだ

夜久君の優しさが

私の後ろめたい気持ちに拍車をかけて

止まったはずの涙が

またこぼれた

せっかくできた友達が

このままじゃまた皆いなくなっちゃうんじゃないかって

言いようもない不安が

私の心を支配する

だけど・・・

気付いたばかりの恋心

無かったことになんて

できるのかな・・・