6匹のネコを拾ったら、若かりし頃の警察学校組とFBIでした。

15缶目 ページ16

降谷side

みんなが人間に戻っていく中、俺と赤井だけ戻れずにいた。
赤井とは初対面なのに何故か馬が合わない。
こちらがイライラさせられる。
そして、この家の家主にもイライラさせられる。
訳もわからず追いかけ回されるわ、この前は猫じゃらしで遊んでくるわ…でも、少し楽しかった…気がする。
住まわせてもらっている事は感謝しているが、まだ完全に信用した訳じゃない。

今は執筆が佳境に入ったからと部屋に篭り出てこない。
睡眠も食事もろくに取らず、みんな心配していた。
だが本人はいつもの事だからと言って執筆をしていた。

4日目、俺は小さな物音で目が覚めた。
時間は午前3時過ぎ。
同じく目を覚ました赤井と不本意ながら一緒に音のした方へと向かう。
そこにいたのはふらふらと風呂場へ向かうAだった。
こんな時間に風呂場へ向かうということは執筆が終わったのだろうか。
なんとなく心配になりそのまま出てくるまで待った。
倒れられては困るからな。
そんな彼女は、出てきて第一声が

「出待ちされたら。」

だった。

『何言ってんだ。』

思わずそう返したが、なんとなく伝わったのだろう。
苦笑いしていた。

それから部屋まで送り届ける事にした。
前を赤井が歩き、俺は後ろを歩く。
途中、脱水症状にならないよう水を飲ませた。
寝室に入り、Aがベットへ向かった時に気が付いた。
ドアを閉められ部屋から出られないことに…。

『しまった！これじゃ出られない！』

「別にいいんじゃないか？ここで寝れば。」

『は？何言ってんだ赤井！』

「何って、ここでなればいいと言ったんだよ。降谷君。」

『だから何故そうなる！俺達は男だぞ！！』

「男である前に俺達はネコだ。ネコが飼い主の側で寝ても問題ないだろう？」

やはりコイツは気に入らない！
わざと煽ったような言い方をする。
1発入れなければ気が済まない…そう思った時

「…おやすみ…なさ、い。」

小さく囁くような声が聞こえた。
暴れて起こすのも可哀想だと1発入れるのは諦めた。
その間に赤井はAの枕元に行き、頬にキスをして寝た。
なんだか悔しくて俺も赤井と同じように頬にキスをして寝た。





起きたら人間に戻っているとは知らずに…

16缶目→←14缶目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す