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赤井side
その時俺は、入り組んだ路地を歩きバイト先へと向かっていた。
時間にはまだ余裕があるが、早めに行って演奏の準備をしようと思ったからだ。
俺はバイト先でアコーディオンの演奏をしている。
だが、将来アコーディオン奏者になることを目的としているわけではない。俺が目指すのはFBIだ。
そして、あの組織を壊滅させる…この手で必ず。
路地を歩きながらぼんやりと考え事をしていた。するとどこからか声がする。複数の声の中に女の声も混ざっている事に気付いた。
可笑しい…この辺りは変なゴロツキが多くいくらまだ明るい時間帯だとしても女が歩く事はない。
良くないことが起こっている…そう思った俺は声が聞こえる方へと急いだ。
やはり…そこには3人の男に腕を引っ張られている女がいた。力には敵わないようでズルズルと引っ張られている。
赤「…すまないが、この手を離してくれないか?コイツは俺の連れなんだ。」
そう言って、男の腕を掴んだ。
相手は自分より小さい奴が出てきた事に笑い、何やら言ってくる。
ーーーうるさい奴らだ。そう思い、俺は男達を見つめニヤリと笑った。…沈められるのはお前らだ。
予想通り、口だけで骨もない奴らだった。
そういえば腕を掴まれた女はどうした?そう思い俺は女に声をかけた…だが、聞こえていないのか返事が返って来ない。
どうした?何処か怪我でもしたのか?そう思い女に近づき再度声をかけた。
すると女は慌てたように頭を下げお礼と怪我はないと言ってきた。
とりあえず良かったと胸を撫で下ろした。
…すると目の前の女から視線を感じる。
なんだ?と思い俺も女を見返し、そこで初めて女の顔をはっきりと見た。
ーーー綺麗だ。純粋にそう思った…
初対面の女に対してそう思った自分に、驚き落ち着かない。自分の胸が運動をしているわけでもないのに鼓動を早める。…なんだこれは?
自分でもよく分からない感情に戸惑う。
そんなに見つめられると困る…思わず呟いた言葉は女の耳にも届いていたらしく、すいませんと帰ってきた。
すると先程まで輝いていた瞳から光が消えたような気がした。
ふと違和感を感じたが俺には関係ない…この辺りは危ないことを伝えバイト先に向かう事にした。
だが、次に返ってきた言葉に俺は驚いた。
どうやら迷子らしい。仕方ないもう少しこの女に付き合うか。そう思いスーパーへ歩き出す。
『…雨宮神無です。』
そう名乗った女とはまた会える…そんな予感がした。
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作者名:クロム | 作成日時:2020年9月8日 23時