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雨宮神無として生活し始めて数ヶ月がたった。
『ベルモット…これ…』
ベ「え?今朝頼んだやつもう終わったの!?」
ベルモットの協力者としての私の仕事は主に情報収集だった。彼女自身の情報収集のスキルは高いが、それ以外にも仕事がある為、情報収集ばかりに時間をかけていられないらしい。情報収集のスキルをベルモットから教わり今では彼女より早く多くの情報を入手できるようになった。
その過程でベルモットは黒の組織と呼ばれる組織の1人ということを知った。幹部はみな酒の名前の付いたコードネームを持つという。国際的テロ組織。また、兄もその組織の一員だった。コードネームのない末端の一員。兄がテロ組織にいたことにショックを受けたが、今の私も同じだなと思うと皮肉にも笑えてきた。
自分の集めた情報が何に使われているか私は知らない…いや、知ろうとは思わなかった。
だってこうしないと私は生きていけないから…
ベ「神無のおかげで仕事が早く片付きそうよ!ありがとう!お礼に今夜食事でもどう?」
何故かわからないけど、ベルモットは私に優しくしてくれる。本当にテロ組織の1人なのかと疑ってしまうほどに…
『私はベルモットの協力者だから…今夜は予定があるからまた今度…』
嘘だ…予定なんてない。
協力者になったあの日から笑うことがなくなった。
楽しいも悲しいもよくわからなくなっていった。
なんでもいいから1人になりたかったから嘘を付いた。
ベ「あら、そうなの残念ね…。まぁ、神無は可愛いからね」
『……。』
可愛いって誰のこと?ベルモットは何を言っているの?そう思っていたら表情に出ていたのか、ベルモットがくすくすと笑っていた。なんか不愉快だ。
ベ「まぁ、いいわ…じゃあ、私は仕事があるから、気をつけてお帰り♡」
神無に向かって投げキッスをしながら部屋を出て行った。
なんか…疲れた…。そう思いつつ私は情報収集の為だけにベルモットが借りた部屋を後にした。
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作者名:クロム | 作成日時:2020年9月8日 23時