５６粒目 ページ8
その声に反射的に廊下へと飛び出しそうな体を、セブルスさんが腕を掴んだ。
「せ、セブルスさ、」
「…共に行く。」
「…はい。」
有無を言わさないその声の温度がほんの少しだけ怖かった。
廊下を出ると丁度アーニーが芝居がかった仕草でハリーを指差しながら「現行犯だ！」と叫んでいた。
「おやめなさいマクミラン！」
その中心に入りたくて生徒たちを掻き分けながら声の元へとたどり着く。そこにはほとんど首無しニックと、壁にへばりついて壁になってしまったのではないかと思うほどに固まりきったハリーと、先生数人。
そして、生気すら感じさせないほどに硬直したその顔を虚ろなまま天井に向ける、ジャスティン・フィンチ・フレッチリーが床に「転がって」いた。それぞれの顔には恐怖が貼り付けられたように緊迫している。
不意に上から視線を感じて上を見れば、ポルターガイストのピーブズがふわふわと浮きながら薄気味悪い笑みを浮かべていた。混乱や混沌が好物とも言える彼らにとっては大層嬉しいことだろう。
『オー、ポッター、嫌な奴だ！一体お前は何をした、お前は生徒を皆殺し、お前はそれが大愉快』
先生が訝しげに彼らを調べている時にピーブズは楽しげに歌うのだ。ハリーが愉快犯だというように。きっとこの混沌もピーブズが引き起こしたものだろう。じっとそれを見つめていると、すいっとこちらに飛んできて、間近で僕の目を見ると、ニシシッと笑う。
「お黙りなさい、ピーブズ。」
マクゴナガル先生が一喝すると、ピーブズはハリーを最後にべーっと舌を出して、僕に対してニヤリと笑うと、後ろに引っ込むように消えていってしまった。
せいさくちゅ
続く (更新停止中)
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