【○○○&男主】親戚のお兄さん【田中龍之介】 (ページ8)

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ホオズキ＃７ページ8

「兄さん！」
「わ…まだ居たんだね。」
もうとっくに帰ってたと思ったのに。と言った兄さん。首筋に汗が垂れてる。そっか、俺にタオル渡したから…
「風邪引くぜ、兄さん。」
「あぁ…ありがとう。」
首に俺のタオルを代わりに掛けてやると、兄さんはにっこりと笑って顔を拭いたりしていた。
「ふふっ…」
「え、なんか臭かった！？」
いや、そうじゃなくてね。と言ってまた笑った。やっぱり男だけど美人だ。
「龍之介の匂いがする。」
すんすんと鼻を鳴らしてタオルの匂いを嗅いでいる。
「好きな匂いだなぁ。」
とすんっと何かが心を射止めた気がする。すげえ胸がドキドキするのは何故だ…！
「どうしたの龍。帰ろうよ。」
立ち止まった俺を見て不思議そうに首を傾げてこっちを見てきた兄さんは、帰ろうと言った。極めつけに、俺に手をさしのべてきた。俺は咄嗟にその手を握ってしまっていた。
兄さんは驚く事もせず、ただ笑って
「龍の手、シトシトしとるね。汗かな。」
と言った。
突然出てきた兄さんの訛りに驚いた俺は
「さっきまで握りしめてたから、熱が篭ってな！」
と裏返った声で返事をしていた。
そんな俺を馬鹿にする事もなくただ優しく、そうなんだね。最近は暑いしね。とそう返すだけだった。
俺は兄さんの事が好きなんだ。きっと。そう思った帰り道。