【○○○&男主】親戚のお兄さん【田中龍之介】 (ページ6)

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チューリップ＃５ページ6

「もうそろそろ終わらないと。日向くんは隣町なんでしょう？もう遅いし、あと一本だけ。」
「えぇー！」
「えーじゃないの。日向くんの手、真っ赤じゃない。これ以上はダメだよ。」
そう嗜めると影山くんが何か言いたげに見てきた。ボールを持って。まぁ、大体察しはつくけれど。
「どうしたんだよ影山？」
「Aサン。」
おずおずといったように遠慮がちに話しかけてくる。いつもは遠慮がないくせに、こういう時は遠慮するんだよなぁなんて。
「どうしたの？」
「スパイク、打ってください。」
いつかは言われるだろうなぁとは思ってたけど今日かー…
しかも僕中学以来バレー、チームに混ざってやってなかったし、自主的に練習してなかったし。
「うーん…下手になってるよ。絶対。」
「良いです、それでも。」
「え、先輩出来るんですか！？」
ぴょんこぴょんこと兎のように跳ねる日向くんを見てはもう断ることなんか出来やしない。
「…いいよ。分かった。シューズ貸して。」
髪の毛を結び直しながら、影山くんのシューズを借りる。…少し大きいけど大丈夫。いける。
ボールを持って、何度か床に叩きつける。
ふぅー…と息を吐く。ちょっとの緊張感の懐かしさをかんじながら、僕は久し振りに体育館の空を飛んだ。