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キク #21 ページ22

「龍!」
兄さんがネットを潜って焦ったようにこっちに来た。
高いところで結んでいるポニーテールが左右に揺れている。
「大地!龍の指、どうしたの?!」
いつも優しい微笑みと落ち着いた態度で、よく俺の頭をジョリジョリ撫でている兄さんが、大声を出している。
まぁ、前にバレーをやっていたんならおかしくもない話だけれども。
「…」
大地さんと二言くらい交わすと、俺の方をぐるりと見てきた。
その目は泣きそうに潤んでいた。
それと反対に眉毛は怒っていた。
「うわ、ちょ、兄さん!」
無言で俺の腕を掴んで何処かに連れて行こうとする兄さん。その手の力は、小さな体に合わない程強かった。が、握っている手は何かを怖がるように震えていた。
俺の数歩先を歩く兄さんの背中が寂しそうに、泣き出しそうに震えていた。

「つめたっ!?」
氷のたくさん入ったバケツに水道水を目一杯入れたと思うと、その中に俺の指をぶっこんだ。
兄さんは何も言わず俺の腕を抑え込んでいる。…俺、なんか悪いことしたっけか。
「…!」
「…折れてはないみたいだね。」
バケツの中にいれた俺の手をするりと包むように重ね、痛めた指を動かした。
多少の痛みを感じたが、それ以前に柔らかいのに、所々豆が出来た手が触れてきている事に少し顔が熱くなってしまった。

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まひまひ=イヴ - 号泣です!すっごくすっごく泣ける小説ですね!しかも田中先輩の!BLですし!私の好みドストライクです!更新応援してます! (2018年3月5日 1時) (レス) id: 3dd76b4fff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊達狐 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月16日 10時

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