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ブルースター #13 ページ14

「お待たせしました。」
綺麗に飾られたブーケを男性に渡すと、彼は至極嬉しそうに笑った。
「あぁ、ありがとう。…彼女に似合いそうだ。」
「素敵な1日にしてくださいね。」
ふふっとまた彼は笑って、ありがとう。お代はいくらですか。と尋ねてきた。
「レジの方にお願いしますね。」
レジに案内して、お会計をする。
「お釣りはいらないからね。」
5643円でおぉ…と思っていたら、彼はブーケを抱きしめながら一万円を皿に乗せた。
「え、え…多いです…!」
「こんなに綺麗に仕上げてくれたから、お礼。受け取ってよ。」
ね?とウィンクをして悪戯な笑みした彼。
余り突っ撥ねるのも、失礼だと母が言っていた。
「ほ、本当によろしいんですか…?」
「うん。」
どうぞ、受け取って?と言った。僕はおずおずとそれをありがたく頂くことにした。それ以上、訪ねるのも不毛かと思ったからだ。こんなに幸せそうにしている彼の気持ちに水を差してはいけない。
「ありがとうございました。またお越しください。」
「うん、また来るよ。ありがとう。」
心が温かくなった。そうか、母さんはいつもこんな風にしているのだろうか。
花を水の張ったガラスのボウルにつけて、薔薇の棘を専用の手袋で落としていく。
「ゔえ…」
胃の奥から酸っぱいものが込み上げてくる。
僕には、人には言えない病気を患っている。

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まひまひ=イヴ - 号泣です!すっごくすっごく泣ける小説ですね!しかも田中先輩の!BLですし!私の好みドストライクです!更新応援してます! (2018年3月5日 1時) (レス) id: 3dd76b4fff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊達狐 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月16日 10時

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