マティーニ ページ4
バーテンダーはシェーカーを取り出し鮮やかな手つきでシェイクしていく。
中に入ってる液体が澄んだ音を立てている。
「今日はどちらからいらしゃったんですか？」
唐突に降られた話題に少し驚きつつ俺は堪える。
「さっきまで仕事だったんでな。仕事中間と少し呑んでた。」
「へぇ。何のお仕事を？」
トプトプと酒がグラスに注がれていく。
淡いピンクをしている。
「国語の教師をな。」
「あぁ、なんだかわかる気がします。」
バーテンダーの男は口元を綻ばせてそう言った。
カクテルが出来たのか、グラスが此方側に寄越された。
「お待たせいたしました。ミリオンダラーでございます。」
初めてのカクテルに少し緊張しながら口に含んだ。
「飲みやしい...」
「それは良かったです。」
甘くすんなりと喉を通っていく。
こん甘さはキライじゃない。
「あんた、名前は。」
そう問いかけるとやはりか、そんな顔を一瞬だけ見せて優しく微笑んだ。
名刺を差し出しながら
「申し遅れました。私、ここのバーテンダーを
させていただいてます柏木Aです。」
どうぞよしなに。
そう言った男、柏木の左耳のピアスが少し揺れた。
「あなた様は、」
「俺は土方歳三だ。」
名前を告げると奴は、酷く懐かしそうに微笑み、そして泣き出しそうな声で
「良い名前ですね、」
そう言った奴の声
何故か胸の奥がツキンと痛くなった。
昔の写真を見たときみたいな、懐かしい痛み。
なんだろう。
思い出したいのに、
どこかで引っ掛かり、思い出せない。
もどかしい気持ちが体に広がっていく。
残った薄い桜色をしたそれを一気に煽る。
そんな俺を見て苦しそうな笑みを浮かべる奴がいたなんて、知らずに。
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伊達狐@活動停止(プロフ) - 燐さん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスのようですね…（汗）申し訳ありません。直させていただきます！ (2018年2月17日 19時) (
レス) id: d530d2d8e8 (このIDを非表示/違反報告)
燐 - 中村祐一じゃなくて中村悠一さんじゃないですか？ (2018年2月16日 18時) (レス) id: 0efc3643a8 (このIDを非表示/違反報告)
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