ブラッディ・メアリー ページ15
血の気を失った唇が告げたのは想像したものよりも苦しいものだった。
ある日は、下手くそだとバッシングされ、所詮は顔が良いだけと言われたり、水を掛けられたり。
訳もなく体を触られ、穢れを擦りつけられもした。
またある日は彼に魅了された女性の恋人が柏木のせいだと殴りかかり、演奏中だった柏木は抵抗も出来ないまま、殴られ続けた。
直さま止めに人が入ったが、楽器はボロボロに壊れてしまっていた。
「僕の体は別にどうでも良かったんです。でも大切だった楽器が見る形もないくらい、壊れていて。」
涙で詰まってしまうところもあったが、それを抑えて話していた。
全て話し終えると柏木は、辛そうに笑いながら涙を零していた。
「…っ」
そんな顔をするな。
そんな思いで、柏木を抱き寄せた。
カタカタと肩が震えている。
「辛かったのを思い出させちまったな。悪い。」
柏木をの髪を優しく梳くと、柏木は声を殺して泣いてしまった。
今日は泣いても許されるだろう、明日は土曜日だ。
俺もこいつの側にいてやりたい。
否、違うな。
柏木の側にいたい。
暫くして柏木は泣き止んだ。
腕を退けようとすると
「…お願い、もっと僕を抱きしめて。」
顔を埋めた胸でくぐもった声が聞こえた。
それはとても魅了的なものだった。
「俺で良いのか。」
「…I chose you.」
色っぽい声が、そう告げた。
強めに抱きしめて、柏木の髪の香りを嗅ぐ。
好きだ、こいつが。
どうしようもないほどに。
愛おしくてたまらない。
「…貴方に、出会わなければ良かったんです。」
「は…？」
また涙を零しそうになっている瞳が瞬きをした。
「貴方に出会わなければ、この心は…今みたいに壊れそうになんてならなかった。」
ドクドクと早く脈打っている心臓。
熱く熱を持った柏木の体。
熱情を瞳に映して、そう告げていく。
「好きが止まらなくて、狂ってしまいそうだ。…貴方のことを考えると、胸が痛くて苦しくて辛いんです。」
懇願するように
縋るように誘惑をする。
「お願い。穢れてしまった僕だけど、愛して下さい。貴方の愛を、僕に下さい。」
彼がそこまで言って、俺はもう我慢ができなかった。
ピンとシーツが綺麗に貼られたベッドに縫い付けて、キスを落とす。
スタンプキスを繰り返して、涙を拭ってやる。
「やっぱり慣れてますね…」
「まぁ、この顔のせいでな。」
許せと、もう一度柏木にキスをした。
離れがたい。もっと触れたい。
その思いが俺を支配していた。
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伊達狐@活動停止(プロフ) - 燐さん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスのようですね…（汗）申し訳ありません。直させていただきます！ (2018年2月17日 19時) (
レス) id: d530d2d8e8 (このIDを非表示/違反報告)
燐 - 中村祐一じゃなくて中村悠一さんじゃないですか？ (2018年2月16日 18時) (レス) id: 0efc3643a8 (このIDを非表示/違反報告)
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