ごめんね ページ32
あまり良くないお話です。
苦手な方はご注意ください。
私は昨日火事に遭いました。
大きな炎です。
私は猫のことを逃げる間際に探しました。
二匹は押入れの奥底にいました。
引っ張り出すことの出来ない程奥です。
炎が上がる前、爆発音が鳴り響き、天井が落ちてきていました。
その音に怯えきってしまっていた二匹は頑なに出るのを拒みました。
炎が来ているのがわからなかったのかも知れません。
なにせ、猫ですから。
そしてわたしは自分は平気の状態のまま、外に出て泣きじゃくっていました。
そして鎮火するのを待っていました。
私達家族は「きっとどこかの物陰に隠れているに違いない。」
と信じるしかなかったのです。
私は夜が怖くなりました。
眠れないからです。梅と桃の楽しそうに遊ぶ姿や、おやつをあげた時の顔を思い出してしまうから。
そして1日が経ち、今。
梅と桃が帰ってきました。
押入れの収納クローゼットの中で二匹が蹲って煤だらけになり冷たくなっていました。
あんなに大きく感じていた体が小さく見えて。いや、小さくなっていました。
熱い、熱いと鳴きながら、二匹でいってしまった。
あの時助けられていたのに。
そしたらもっと長生きできたのに。
ごめん、ごめんね。
と私は二匹の亡骸の前で只々声にならない謝罪を述べながら、冷たく硬くなった二人の体を撫で、その前に座っているしかなかったのです。
もっと遊んであげたかった。
もっと愛してあげたかった。
家が燃えても、自分が火傷をいくら負っていても。二匹を、二人を助けてあげれば良かった。そう、後になって取り返しのつかないほどの後悔をしています。
私は、火元の方を恨んでいます。ですが、それ以上に、可愛い私達の家族二人を焼き尽くした炎を、火事を許せません。私はこれからも恨み続けてしまうのでしょう。
そして、あの二人を愛し続けるのでしょう。例え、他の猫を飼ったとしても。
ごめん、ですまされないけど、本当に家に来てくれてありがとう。うめ、もも。大好き。
好きだよ。ずっと。
ごめんね。ありがとう。
2017.4.26.伊達狐
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