33.二度と ページ34
「あーあ、せっかくダチになれると思ったのに……ザンネン♡
……さてどうやって死にてぇ?」
マイキー君の顔が変わった瞬間、ｿﾞｸ…と背筋が凍るような感じがした。
これは覚悟するしかない。
「二度と人前に立てねぇーツラにしてやるよ」
笑いながらオレの方に向かっているマイキー君の目は笑っていなくて。
でもここで引くわけにはいかない。
「一つだけ約束しろや」
「ん？」
「ヒナには絶っ対ぇ、手ぇ出すなよ」
「は？知らねーよ」
マイキー君が拳を振りかぶって、オレは反射的に目を閉じてしまい殴られると思っていた……のだが。
「なーんてね」
「……へ？」
マイキー君が殴るのをやめて、気の抜けたことを言ってきたから……もう、オレの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら変な声が出てしまった。
「バカだなータケミっち。
女に手ぇ出すわけねーじゃん」
「タケミっち……オレ相手に凄んだな？」
「す……すいません」
「いいよ。“譲れねぇモンがある”……今どき“女”にそれ言うやついねぇぞ？昭和だな」
「ハハ…」
「ビッとしたぜ？」
そう言ってドラケン君とマイキー君は昇降口を出ようとしていた。
「ちょっと君たち！！！！」
そんな中、去ろうとする2人に後ろから声をかけてくる人がいた。
……姉ちゃんだった。
「生徒会長がきた！！」
「さすがの生徒会長なら……」
「しっ！黙ってろオマエら！」
ギャラリーも姉ちゃんの登場にザワついてきた。
「あ？誰だオマエ……」
「オレらになんか用？」
あ、そっか。
姉ちゃん昨日は“男装”してたから、2人とも姉ちゃんのこと“男”だって勘違いしてんのか。
「話を聞いていたからやってきたけど……ハァ、やっぱり君たちだったか」
「あ、美琴ちゃん！」
「え、もしかして……ミコト！？」
「オマエ、そんな趣味があったのか」
「そんな趣味……？」
「いや、女装する趣味……」
やっぱ勘違いしてたー！
「ドラケン君、あのね、姉ちゃんはさ」
「僕、女なんだけど」
姉ちゃんはオレの言葉を遮るかのようにそう答えていった。
「「えぇ〜〜!??」」
そして2人とも、姉ちゃんの発言にかなり驚いた声を出してしまっていた。
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作者名：くろっきー | 作成日時：2021年10月16日 13時
