25.俺のダチな♡ ★ ページ26
佐野は止まらずにそのまま武道の方に歩いていく。
武道は佐野に圧倒されたのか、後ろに下がり思わず尻もちをついてしまった。
「オマエ、名前は？」
「は、花垣武道……」
「……そっか……タケミっち」
え、タケミっち……？
そういや、ドラケンのことも“ケンチン”って呼んでたし、特殊なアダ名つけるのが趣味なのかな……
「マイキーがそう言うんだから、そうだろ？
タケミっち」
「へっ！？」
佐野は前屈みになって武道の後頭部を持ち上げ、顔を近づける。
「オマエ、本当に中学生？」
中々鋭いな……
もしかしたらさっきの武道の覚悟の声を聞いて、そう思ったのだろうか。
普通の中学生にあんなことはまず言わないから。
「タケミっち、今日から俺のダチ！！なっ♡」
「へっ！？」
想像もつかない佐野の発言に、武道は変な声を出しっぱなしだった。
東京卍會のトップがボコボコにやられているヤンキーに、“今日から俺のダチ”だなんて言われるなんて思わないだろうからな。
佐野は武道から離れると、僕の元へとやってきてじっと見つめてきた。
「……何？」
「さっき見てたけど、オマエの蹴り凄いな！名前は？なんてゆーの？？」
「僕？花垣美琴だけど……」
「そっかー……ミコトかー……」
佐野はウンウン、と頷きながら決めた！と言い出した。
「ミコトも今日から俺のダチ、な♡」
僕ら花垣姉弟、マイキーこと佐野万次郎に気に入られたらしい。
「あの、佐野君……」
「“マイキー”」
「え？」
「俺の事、“マイキー”って呼んで！
佐野君、だなんてタニンギョーギみたいでヤダ。
だから、呼んでくんない？俺達ダチだろ！？」
ほぼ最後は圧のようなものを感じたが、純粋に気に入ったヤツと仲良くしたいって思っているみたいなので、素直にマイキーと呼ぶことにした。
「わかったよ、マイキー」
「そうそう！」
「ミコトー、俺の事“ドラケン”って呼んでくれよな」
龍宮寺……いや、ドラケンも僕にそう呼べと言ってきたので、わかった。と一言返した。
.
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作者名：くろっきー | 作成日時：2021年10月16日 13時
