16.状況報告 ★ ページ17
- 美琴side -
帰ってきた武道は、未来の武道になっていた。
そしてやっぱり、あの夜のナオトくんとの握手で未来に帰っていって、気づいたらナオトくんに助けられていたらしい。
未来に戻っても、ヒナと僕は死んだまま。
だけど未来の僕はヒナを庇い、トラックに突っ込まれて亡くなったらしい。
でももう1台、トラックが突っ込んできてそれにヒナも巻き込まれた。
結果論だと変わってないかもしれないが、ナオトくんと僕の意志がヒナを守るというのに変わっていたことは今までと違うだろう。
そして“最初の未来”ではトラックは“1台”だけ屋台に突っ込んできて、ヒナと僕、ナオトくんは巻き込まれて亡くなった。
トラックは“2台”に変わり、直人くんは生きている。
そしてナオトくんは警察官となっている。
これだけでも少しは未来は変わっているはず。
なら、これから
「で、未来のナオトくんになんて言われたんだ？」
本題はここからだ。
「姉ちゃん、東京卍會って知ってる？」
「東京……卍會？……あー、なんかどっかで聞いた事あるような……」
「未来ではその東京卍會が犯罪組織になってるんだ！そしてその抗争によって、姉ちゃんとヒナは巻き込まれた。
ナオトに言われたんだ、東京卍會の2トップである“佐野万次郎”と“稀咲鉄太”の接触を回避できれば、今の東京卍會は存在しないって」
なるほど、まずは
「で、俺……姉ちゃんに言えなかったことあるんだ……
今、清水将貴ってヤツの手下になって……
キヨマサって呼ばれてんだけど、そいつ東京卍會の1人で……佐野万次郎に会わせてくれないか？って聞いたら……ボコボコにされちまって……」
だから今日もこんなボロボロになって帰ってきたのか……
喧嘩もあんま強くないのに。
「ただ、恐怖でしかなくて、ずっと嫌だった。奴 隷にされて喧嘩させられて、何もかも嫌になって……
そして俺は皆から逃げるように離れてしまって……」
涙を浮かべながら話している武道をそっと抱きしめた。
きっと、
でも、後悔しているから
後悔しているから僕に話してくれた。
それだけで十分だよ、武道……
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作者名：くろっきー | 作成日時：2021年10月16日 13時
