似た者同士。【月永レオ】 (ページ36)

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「ねぇ、今日月永って来てる？」

一時間目が終わったあと、私はなずなにそう訪ねた。
あいつがしたことを、月永が教師に言ったのかも知れないし。

「まだ見てないけど…どっかで作曲してるんじゃないか～？レオちん、そういうの多いから…」

私はそれを聞いて、「チャンス」と思った。
月永を探すって言えば、今日の授業もしかしてサボれるんじゃない？
いや、学校が嫌いなわけじゃないよ。ただ、今日はなんとなく授業を受けたくないだけ。

「あのさ、なずな。私月永探してくるからさ、先生に何か聞かれたら保健室行ってますって言っておいてくれない？」

「どうしてレオちんをAちんが探すのかわからないんらけりょ…っ！？っ、あっこら、Aちん！」

なずなのそんな声が聞こえた頃には私は教室を飛び出していた。
上手く、抜け出せた。
月永と話したいってのが八割は占めてるけど、残りの二割はサボりたいって気持ちなんだよね。

なずなはああ言ってもいつも説明してくれるし、3-Bは問題児の集まりでもある。私が一人抜けても、何も文句は言われないだろう。

ふぁあ、とあくびをする。
廊下には生徒がいなくて(当たり前か)、いつもより広く感じた。

「あれ、Aねえさん？」

図書室の前を横切った途中、ふと、後ろからそんな声がした。
びっくりして、振り返る。
そこにいたのは、逆先夏目だった。

「夏目だ。やっほ～、どうしたの、サボり？」

「まぁ、そんなところかナ。Aねえさんこそ、どうしてここにいるのサ」

「私は人探し。…夏目は月永レオのこと、知ってるよね？見てない？」

私がそう聞くと、彼は少し間を空けて…「見たヨ」と言ってきた。

「どこで？」

「あまり顔ははっきりと覚えてはいないから、人違いかもしれないけド…さっき廊下で座って作曲をしていたはずだから、ボクの来た道をまっすぐ行けば会えると思ウ」

「そっか。うん、ありがとう。行ってみるね。……あ、そうだ、夏目」

私は、彼の名前を呼ぶ。
夏目は頭に「？」という文字を浮かべていた。

「あのときは、ありがとね。」

「……ねえさん？」

彼は何か言いたそうにしていたが、私は夏目の肩にぽん、と手を一瞬乗せて…彼の横を、通った。