似た者同士。【月永レオ】 (ページ12)

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わりと早いペースで、廊下を歩いていく。
鞄を教室に置いているから、取りに行くためだ。早く帰りたい。今日は軽音部の活動は無いのだ。

長い廊下を渡り、曲がり角を曲がる。
そのときに、私はよそ見をしていて…前からくる生徒に、気付いていなかった。

「わっ…！？」

どん、とぶつかる。
衝撃で私は転び、手に持っていた楽譜も落ちてしまった。

「…悪い、大丈夫か？」

「……つ、月永、レオ…」

…ぶつかった相手は、紛れもなく月永レオだった。
何か言われるかと思ったけど、彼は特に何も言わずに…ポケットに入れていて落としたボールペンなどを拾ってくれた。

気まずい雰囲気が漂う。
スカートの乱れを直していると、月永レオは私に、「おい」とまた声をかけてきた。
…私、『おい』って名前じゃないんだけどな。

「これ、なんでおまえが持ってるんだ？」

彼が手に持っていたのは、先程の楽譜だった。

「資料室で、拾ったの。…返してよ、月永には関係無いでしょ。」

「嫌だ。…これは、おれのだから」

「…はぁ…？……とにかく、返して…っ…！」

彼の手から楽譜を取り返す。
何、いきなり。…また、何か言うつもり…？
この間言われたことがだんだん甦ってきて、少し腹が立った私はキツく言ってしまった。

「おい、ちょっと待てっ！」

「嫌だ…！」

彼が取り返そうとしてきたので、私は伸ばされた手を振りほどき、走ってその場を去った。