Past.【月永レオ】 (ページ6)

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「つい、た…」

駅からちょっとの距離だけど、何も計算してなかった。だって夢ノ咲学院前駅？でしょ、すぐ前にあると思うじゃん、思うよね？
まさか改札を出たと同時にチャイムが鳴るなんて、思わないじゃん。

レオのことについて考えていたら、でる時間がギリギリになってしまった。…私階段から落ちたことあったっけとか、それ以前に…私が階段から落ちたのが夕方だとしたら、どうして彼と一緒にいたんだろう。…何も思い出せない。この時期に仲良かったっけ、そもそも。

「珍しいですね、遅刻するなんて」

職員室にいた先生に、遅刻証明書みたいなものを貰う。…初めて受け取った、これ。

「お、(名字)。大丈夫だったか～、昨日は」

「あっ、えっと、は、はい。迷惑かけてすみませんでした。大丈夫です。」

佐賀美先生にそう言い、頭を下げる。
そうだ、この人保健室の先生だったっけ。記憶が正しければだけど、白衣っぽいものを着てるから多分そうだろう。

職員室を出て、教室に向かおうと階段を登る。
…教室の場所、どこだっけ。上に登ればわかるだろうか、やばい、脳をフルに使え私。頑張れ、頑張れ。

ホームルームが終わったのか、生徒たちが続々と廊下に出たり、移動教室なのか教科書を持ち歩いている姿もあった。
…緑のネクタイを身につけてる人がたくさんでてくるってことは、この階が三年のフロアか。

進んでいき、3-A、と書いてある看板？がつる下げられている教室に入る。
おはよう、と言われ、おはよう、と返す。挨拶してから気づいたけど、うそ、今の守沢千秋だ。テレビでよく見るよ、全然変わってない。

「あっ、Aちゃんだ。おはよう～、どうしたの、遅刻なんて珍しいね？」

ひらひらと手を振られ、とりあえず振り返す。この人も覚えてる、羽風薫。朔間零と一緒によくいるイメージ。この前特集組まれてたなぁ。

「おはよう。ちょっと色々あったんだ…」

「病気とかじゃなくて安心したよ、最近あんずちゃんが退院したばっかりだからさ、ちょっと過敏になってるんだ。…Aちゃんも、気をつけてね？」

「私は大丈夫だよ。………あ、そうだ、羽風くん」

あんずちゃん倒れたのか。…そういえば、入院してたとか聞いたなぁ、お見舞いにもいったよ、確か。
私は、羽風くんを呼び止める。チャイムが鳴ると同時に、こう聞いた。

「私の席って、どこだっけ…？」

そう聞くと、彼は困ったような顔をこちらに向けた。