吹くからに ページ22
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『ねぇ...杏寿郎...もうすぐ中秋の名月ね...』
みやこの頭には桃色の百合の髪飾りがついていた。
妹君の遺品だった。
もう一つだけ。
「伯母様!!」
後ろから雪の様な白髪を揺らしながら妹君そっくりの幼子が駆けてきた。
最近、妹君の遺言の一つで俺達夫婦で引き取ったのだ。
みやこはその幼子をとても愛おしそうに見る。
『はいはい。なあに?』
優しい手付きで妹君のお子様...真由香様を抱き上げる。
けれどその目は真由香様の事など全く見ていない。
「紅葉!!拾ってきたの!!でね、千寿郎くんと栞にしたんだよ〜!!」
『まあ!凄いのね!!』
みやこが真っ赤な紅葉を押し花にした栞を受け取る。
確かに綺麗に出来ていた。
『大切にするわ。有難う。』
「喜んでくれて良かった〜!!」
真由香様もどうやらみやこの様子に気付いているようで幼いながらに慰めようとしている様だった。
「伯父様にもあげる〜!!」
そう言って真由香様が俺に竜胆の押し花の栞を渡す。
これまた見事な栞だった。
『...今日はお月見よ!!お団子用意しましょうか!!』
唐突に立ち上がり台所へ向かうみやこ。
俺と真由香様はその背を追いかけた。
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