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そんなことを考えていると

黒尾が私の髪をひと束すくい上げた。





「今日はちゃんと乾かしたんだな」

『すごいでしょ』

「ぶは、そんなことでドヤ顔されても」





可笑しそうに笑って、そのあとも私の髪をさらさらと指先で遊ぶ黒尾。なんか恥ずかしいんだけど。

ちら、と隣を見上げると目が合った。





優しく私を見つめるその視線はくすぐったい。

誰にでもそんな目を向けるの?

矢野さんのこともそうやって見つめたの?





私の知らない黒尾がいるのはやだよ。





『___ねぇ』





聞くつもりなんてなかったのに。





『黒尾のキスの癖ってなに?』

「………ん?」





思わず口から溢れたその問いかけに

黒尾がキョトンとする。





「俺の…なんて?」

『矢野さんに聞かれた。黒尾のキスの癖知ってる?って』

「矢野って、あー…」





黒尾は困ったように頭を搔く。





『私、黒尾のキスなんて知らない』

「でしょうね」

『矢野さんが知ってるのに私が知らないなんてやだ』

「…………」





こんなこと言われても黒尾は困る?

でも私だって困ってるの。





「じゃあ、……教えてあげよっか」





俯いていた顔を上げると

私をまっすぐ見つめる黒尾と目が合った。

ふざけてなんかない、真剣な目。





薄暗い廊下で自販機の灯りがぼんやりと照らす。





何も言えないでいると

黒尾の大きな手が私の頬にそっと触れて

ドキドキして目が逸らせなかった。





『黒尾…』





その言葉の意味くらいわかってる。

だから期待して、その名前を呼んだ。


.

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りんごあめ(プロフ) - MARTYさん» ありがとうございます!!キュンキュンしていただけたなら嬉しい限りです☺️ (4月4日 17時) (レス) id: 60ce7b9f29 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 黒尾ファンさん» いつも応援ありがとうございます!!作者もWデートの話気に入っております☺️ (4月4日 17時) (レス) id: 60ce7b9f29 (このIDを非表示/違反報告)
MARTY - キュン死しそうでした!最高でした!!!!!! (4月4日 9時) (レス) @page48 id: 27d32145c9 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - この作品が最高すぎて、わぁってなっちゃった。この作品大好きやわぁって今日もう一度思いながら読ませてもろうたんやけど、Wデートがきゃってなってもうて心臓がもちまへん、さいこうすぎまへんか!!これからもごっつい応援しとるけん頑張ってください!!!😄 (3月29日 22時) (レス) @page48 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 黒尾ファンさん» 何度も読んでいただいてありがとうございます!!すごく嬉しいです💓 (3月29日 19時) (レス) id: 60ce7b9f29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんごあめ | 作成日時:2024年3月16日 17時

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