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鬼灯side

鬼灯「さて、そろそろ帰りますかね」

現世の視察の帰り。
…ハシビロコウ、よかったなぁ。

そんなことを考えていると、突然、今まで感じたことが無い位強大な妖気を感じた。
何ですかこの妖気。鬼神レベルじゃないですか。いや、最早それ以上。
発信源と成るものは此処から約460㎞離れた山奥。少し行ってみますかね。
電車に乗り、着いたのは京都。そこからさらに山奥に進むと、小さな神社が見えた。
そこには


倒れた少女がいた


鬼灯「!」

駆け寄ると既に息は無かった。
可哀想に、こんなところで一人寂しく死んでしまったんですね。そうだ、亡くなっているということは、魂が何処かで飛び廻っているかもしれません。地獄までお送りしましょう。



しかし、死体なのに妖気が流れるものでしょうか?


それにしても……

…死体…か…

そうとは思えないほど綺麗な方ですね。
黒い髪、白い肌、薄い唇に小さな角。

…え、角?


鬼灯「…鬼だったんだ…」

なにがともあれ、地獄に連れていかないと。

鬼灯「もしもし、起きて下さい」

しゃがんで揺すっても、ぴくりとも動かない。

鬼灯「もしもし、もしもし…もしもし!」

?「…うぅ"ッ…どなた…ですか?」

鬼灯「あ、よかった、起きましたか」

?「えっと、はい。あの…貴方は?」

目の前の少女が不思議そうな顔をして私を見上げた。まぁ、それもそうですよね、私は鬼ですから。

鬼灯「地獄の者です。たまたま通りかかると貴方が倒れていましたので」

?「あぁ、そういう…」

鬼灯「!」

驚かない…
地獄の鬼とわかっていないのでしょうか?こんな人は初めてです。
少女は私をじっと見ていた。瞬きもせずに、じっと。怖がっている訳でも、興味を示している訳でも無く、ただただ闇のように暗い瞳でじっと見ていた。




…なんでしょうか…

私は

この少女を

知っている。



この目も



?「…良いお名前ですね」


この声も



?「私は「鬼神A」といいます」


この名も


?「此方こそ、地獄までよろしくお願い致します」


この悲しげな微笑みも



全て知っている。
でも、何一つ思い出せない。
とても、大事なはずなのに

伍→←惨


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作者名:黒鴉 | 作成日時:2018年12月21日 16時

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