｢勇んで戦う者｣ノ御記＿＿陸. (ページ44)

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夢か幻か＿＿壱ページ44

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重い瞼を開けAが最初に見えたのは＿＿＿所々に蛍石が埋め込まれた岩の洞窟であった。蛍石は宝石であり紫外線を当てると青紫の光を放つ…某天空の城の石のイメージになったとか云々。そのお陰か洞窟はやや暗めながらも幻想的な光を灯して視界を確保してくれている

｢……｣

腰を上げ起き上がると温い水の感覚が肌を触る
洞窟内は大小様々な丸びを帯びた石が敷き詰められ、窪地に蛍石が薄く光る然程広く無い泉。一切の汚れのない透き通った泉は"己が生まれたての姿のままである事を証明していた"

(此処は確か……｢妣之泉(ハハノイズミ)｣だっけ…？)

嘗て修行中に一度だけお世話になった
エンリルとエンキ曰くこの泉は｢勇んで戦う者｣の凡ゆる傷や溜まった穢れ、チャクラを回復する為の場所らしい。一番目の外傷は兎も角最後のチャクラについてはA限定な気がしてならない

そう言えばこの泉にお世話になったのも先の様に神遁と魔遁を併せ無ければならない程の者を降ろそうとした時だったか

日本三大怨霊

貴族の反感を買い怨んで果てた末死後、京の内裏内にある清涼殿に落雷を落とし多くの人そして帝を死に追いやった怨霊…菅原道真

平安時代関東を治めていた豪族の一人が自らを｢新皇｣と自称し帝敷いては全国を敵に回し、二ヶ月後に四肢を落とされ晒し首にされても尚怨念が強くバラバラになった体を集めようとした怨霊…平将門

平安末期に起こった保元の乱にて争いに敗れた上讃岐国へ流され罪人の烙印を押され果てた後、厄災と多くの重役を死へと追いやった怨霊…崇徳天皇

以下三人は｢怨霊｣としての一面を持ちながらその災いを鎮める為に｢人神｣としての一面＿＿＿つまり魔なる域に居ながら神の域に居る者達だ。故に彼等をこの身に憑依する際は魔遁と神遁、両方のチャクラを合わせなければならない。ある意味において血継限界と似て非なるものかある

｢はは…今回"も"失敗しちゃったかぁ｣

(菅原道真も崇徳天皇も怨みが強くて前は頭から血飛沫上がったんだよね…)

｢三大怨霊で力を貸してくれるのは貴方だけですよ将門公…｣

『＿＿＿…お目覚めでしょうか勇者様…お身体は…』

｢流皇…うん体も平気だし大丈夫、心配かけてごめんね｣

『いえ…僕達は勇者の侍女です…お身体お拭き致します』

泉から上がった自分は流皇に身を整えて貰い
補修と洗われ乾いた任務服を纏って妣之泉を出た

さあて一体今日の説教は何時間になるのやらそれが心配だ