奪われ者 ページ21
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ス｢…まさかあんた、全部のカードの効果を知っているとか言うんじゃないだろうね？｣
｢効果どころかそのカードが大体何のデッキに使われてるぐらいまで覚えてる｣
ス｢呆れた……ただの優男と思ったらバトスピ馬鹿じゃないか｣
ハァと溜め息を吐かれるが否定はしなかった
仕方がない、覚えてしまったものは覚えてしまったんだ。それは小さい頃から常にバトスピが側にあった子供の性だと思う
するとスカイは自分の推理に観念したのか肩を竦め
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ス｢勇者なのか解んないけど、確かにあたしは『酉の十二神皇ゲイル・フェニックス』を"持っていた"｣
｢持っていた？｣
ス｢……奪われちまったのさ、この国の兵共に。ゲイルフェニックスともう一枚のカードもね｣
｢貢ぎ物にするとか何とか言って｣と付け加える様に言うが、普通に考えればそれは間違いなく泥棒だ。独裁政治に近いものだ
この言い分からするとバトスピの勝負ではなかったんだろう。多分無理矢理力ずくで、と言う醜い方法で取られてしまったに違いない
｢だから取り返す、って言ってた訳か｣
ス｢ああそうさ。奪われたのなら奪い返すに決まってる、あれはあたしの宝だからね。
…さっさとターンを譲る事だよ遥、あたしはそこまで我慢強い方じゃないんだ！｣
透き通ったオレンジ色の瞳に炎が揺らぐ
憎悪、復讐、怒り……激しくそして哀しいそれは業火の様に見えた。義賊と言った彼女にはとても不釣り合いな気がする
だから俺は首を縦に何か振らなかった。そんなの、絶対
｢駄目だ、断る｣
ス｢何でだ!!これはあたしの問題なのさ、あんた達は関係な＿｢あるね｣｣
｢ある。俺達は……正確にはセキトとシレンだけど…俺達は怪我したお前の為に戦って傷も治しちまった。それで無関係だって言われて｢はいそうですか｣で引き下がれるか！少なからず俺は無理だね！絶対に断るっ!!｣
ス｢っ……けどこれはあたしの問題だ！奪い返さなきゃなんないんだ！あんた達が巻き込まれる必要なんて無い！｣
｢…義賊が、自分の為に動いて良いのか?｣
ス｢！｣
｢自分の問題で義賊が動いちゃ駄目だろ。義賊は他人の為に盗みを働く奴だって後輩が言ってたよ、ならお前は他人の為に奪い返すべきだ｣
ス｢…そんなの、誰の為にだって言うんだ｣
誰の為?
そんなの言わずもがな
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｢俺達の為に決まってんだろ？｣
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作者名：黒神白堊 | 作成日時：2017年6月15日 20時
