救世記＿battlespiritsrevival＿【異変の始まり】 (ページ32)

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漸くなんだ(noside) ページ32

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＿＿ドパァァッ!

零・麻『！』

コ｢ちょっとちょっとちょっとぉ…？
　何で……何で貴方には羽があるのよぉぉぉぉ!?
　あの子やこの子だってまだ力を使いこなせてないのにぃぃぃぃ!?｣

突如

遥の背中から大量の水が溢れ出した

それはどんどん氷って行き最終的にはパァン！と
勢いよく割れ、見れば彼の背にはステンドグラスにも見える
神々しく不思議な翼が方翼だけ生えている

両手には同じように氷で形成された大剣が握られ
何処かのRPGゲームの勇者を連想させた

そして彼は閉じていた瞳を開けると
ニヤリと笑って、赤ずきんを見据える

コ｢っ!｣

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まるで蛇に睨み付けられたコカビエルは
瞬く間に零雄から離れると戦斧を握り締める
顔を真っ青にし、余裕の無い表情だ

コ(何で何で何で!?だって一番弱そうだったじゃなぁい!?
　食物連鎖で最下位に居そうな……弱虫だったじゃなぁの!?)

それなのに、何故
烈火遥が天使の力を完全にコントロールしてるのか

何故、麻乃や零雄の誰もが翼を出せないでいる中
たった一人だけ翼を出せているのか

誤算だ、完全な誤算だ
武器だけならまだしも翼まで出されれば…

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コ｢っ＿＿行きなさい私の狼っ!!｣

命令した途端、ドロドロとした狼達が
遥を殺そうと飛び掛かる

ある狼は血の混じった雹を吐き
ある狼は火を吐き出して

けれど

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遥｢"Protegas me, glacies lilium(我が身守るは氷の百合)"！｣

コ｢!!｣

＿＿ドスドスッ!!!!

遥を殺す前に地面から突き破って来た氷柱が
狼達を突き刺して動きを止める

突き刺された狼達は声になら無い声を上げると
そのまま体が跡形もなく崩れ去った

狼はもう居ない

もう手はない

コカビエルには、翼もない

残るのは彼女一人

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コ｢何で、何でよぉ！だって貴方は弱いんでしょぉ!?
　なのに何でこんなに強くなってるのよぉ！
　あの時は怖くて逃げたそうにしてたじゃなぁぁぁい!!!｣

遥｢………｡
　ああそうだよ、今だって正直逃げてぇくらいだよ
　此所まで来るのにだって、恐怖に葛藤して
　つまんねぇ事にまで悩んで、漸くなんだ

　漸くなんだよ、赤ずきん
　俺はお前から……お前らから俺の日常を守るんだ！
　親父とお袋が居て、零雄が居て、部活の仲間が居て、何でもない日々を過ごす為に!!｣

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