science738(熾織side) ページ30
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___ゴゴォッッッ!!!!!!
「ッッ!」
紫「うわああ!?」
「紫苑!」
耳をつん裂く様な爆発音と共に生まれた爆風が、容赦なく熾織達の身を叩いた
無理もない。熾織達の位置は戦兎達の姿がよく見えるところだ。遮蔽物のないこの空間で爆風があれば間違い無く風の餌食となる
何とか風で倒されない様踏ん張ったものの横の紫苑が飛ばされかけ、自分は慌てて少女の手を掴んだ。そう言えば紫苑は軽かったなとあれもしない事を考えてしまうのは戦闘に身が入っていないのか、それとも頼りになる仲間がいる安心感からなのか。どちらかにせよ、軽口を叩けるくらいの余裕はあるらしい
紫「ありがとう熾織姉…ハッ!それよりアイワスは!?」
今のアレがアイワスとコロンゾンの衝突によるものだと解っている
熾織や紫苑の様な人間にとって神気はとても解りやすい。最悪、人の気配よりも感じ取りやすく気付きやすいのだ
善なる神気はどこまでも澄み渡るさながら陽の気
逆に、邪悪な神気は周囲を混沌に陥らせる陰の気
………故に、解ってしまうのだ
双方のありったけの神気が衝突してどちらが存在しどちらが消え去ったのか
「……」
残ったのは_____
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コ「____ハ、ハハハハハ!アイワスめ、あれだけ偉そうな大口を叩いておいて余に殺られて終わるとは叡智の天使も自らの力に驕りおったか!!」
陰の気を満たす邪悪な神気……神浄喜怒哀楽の形をした、333の大悪魔_____"コロンゾン"だった
対峙していたアイワスの神気も宿体も、"一欠片も場に存在しない"
完全な勝敗が決した
その事実を目の前に勝者たる大悪魔は口元を歪め嬉々として笑う。嗤う。
コ「ククク、憐れなり!憐れなり!この大悪魔に敵う訳がなかろうて!この宿体に余がいる以上はな!」
紫「アイワスが…消えた…ッ、どうしよう熾織姉!」
信じたくも無い事実に目を逸らす様にこちらを見つめる紫苑。その瞳は大きく見開き、震えていた
しかし…自分はそれに応えない
アイワスがいなくなったからとて全部が終わったとは思わない。ここはヒーローという概念が存在する世界、悪は正義のヒーローによって倒されると信じているからだ
「…名前は一番短い"呪"だ」
己の魂を縛り付ける呪い
己自身を証明する呪い
そして、それは陰陽師でなくとも誰でも使える呪いだ
だから、きっと
「呼べ、ヒーロー」
哀れな男の名を
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作者名:黒神白堊 | 作成日時:2018年10月22日 17時