science706(鏡怪side) ページ45
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母親についての記憶は殆ど無い
朧気に覚えているのは母と父が一緒に居る姿だけ。殆どの全ては父親と喜怒哀楽とアルバムから得たものばかりで故に悪者だと言われてもそこまでショックなど無かったし逆に悪者の娘扱いされる方がショックだった
希薄な感情しかなくても、母親を目の前にすれば情の一つや二つ思うのだろうと思っていたのに
なのに____
「だ、れ…?___は、自分がお腹を痛めて生んだ癖にそれすら忘れちゃったんですか?元々期待なんて一つもしませんでしたけど失望しましたよ!お母さん!!!!」
遥「……?」
そんな気持ち、先の発言によって前言が撤回されてしまった
誰だ?自身のもう一人の娘の事すら忘れてしまったか
心の底で沸々とした感情が煮えたぎる
ここまで言われて腹を立てずに居られる程鏡怪は感情と矜持が無い訳じゃない。まるで"本当に記憶がない"様な顔をされて黙っていられるものか
メ「…主これは少し何か___」
「いきますよメフィスト!やっぱり殺さなきゃいけない人間みたいです身内として恥ずかしいくらいに!!」
メ「主!?」
破「そうこなくっちゃ話にならないって事だけど。__聞け罪咎の魔女、ボクの名は十魔破魔!お前を殺す名だ!」
紫「ちょ、鏡怪!破魔!」
メフィストと紫苑の制止を無視して中心に爆発の花が咲いた
破魔の能力だ
白い花は辺りの視界を眩ませて視覚を著しく下げる。それは自分達も同じ事ではあるがしかし__
「"起て,学徒よ。誓って退転せず,塵の世の胸を暁天の光に浴せしめよ"!」
未だ幼い唇で紡いだのは悲劇ファウストの一文による呪文詠唱
破魔と熾織によって散々に暗記させられたおかげか、今や何を見なくとも諳じる事が出来る
もっと上達すれば
今行ったのは視覚の補助を行うもの
白に埋もれた世界が徐々に輪郭を成していくのを鏡怪は確かに感じた
(まだ…まず一発!!)
敵の姿はこの瞳で捕らえた
後は左手で肘を押さえ右手で拳銃のジェスチャーを構えながら
「"真理の詞は,澄める大気の中に,不死の群れに,到るところに光明を与う"__!」
敵を___射る!
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作者名:黒神白堊 | 作成日時:2018年7月10日 18時