science312(境怪side) ページ16
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闇色が天を包み人ならず者が蔓延るこの時間
雲がないにも関わらず新月によって月と星は顔を見せず
夜を生きる者にとっては尚更動きやすい
月は時として神聖なものとなる、それを境怪は嫌うのだ
月光は、自分にとって相性が悪い
「クスクス。脱走は無事失敗…でもチップ以外にあの方が埋めた魔術は動作しなかった
__そう、あの聖剣使いの王が断ち切ってしまったのね。ううん、あの程度切って貰えないと面白くないわ」
東都の首相氷室泰山が捕まっているある工場の屋上で佇む境怪は、目の前で起こった首相脱走未遂を見て呟いた
泰山の息子__幻徳が父親を逃がそうとしたのだ
スマッシュも内海を倒そうとしてスタークによりそれは半ば絶たれてしまったが
スイッチのダメージのせいで動けなくなり
手摺に寄り掛かる彼は誰かに電話をしている
その相手が誰か境怪は知っている
目視しているに止めないのは敢えてそうしているだけだ
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「だって、つまらないじゃない止めたら
ああやって希望を探して必死にもがいてる何て健気で__」
__その希望を、目の前で壊してやりたくなる
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「知ってるローグ?私知っていたのよ、貴方が裏切る事
全部全部ずーっと前から全て知っていたの。この時が来るまで」
……幻徳が仮面ライダーになった事で
正気に戻っている事を境怪はずーっと前から知っていた
スタークよりも、ましてや遥姫よりも先に自分はそれを知っていた
誰も解る筈の無い先を境怪は手繰る様に知っていたのだ
クツクツと喉を鳴らしながら口元に弧を描く
残酷な程黒い瞳が三日月の様に細められる
嗚呼でも、境怪でも予想が着かない事が最近あった
それは遥姫が凄く吃驚して自分とてまさかと思った事である
「神浄喜怒哀楽…あれで完全に終わったと思ったのに
反論出来る程の気持ちの強さがあっただなんてね」
パトンドラタワーで遥姫と再会を果たし、同時に無慈悲な事実を知った喜怒哀楽
あれだけの事を知って、事実を突き付けられて
見立て通りならあの男は絶望していた筈だった
…"境怪の宿願が叶った筈だったのに"
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「…まぁ良いわ、あれで終わった訳じゃない。まだこの世界の住人達には踊って貰わなきゃいけないもの。誰も、誰も気付かないでしょう?例え___」
何処かの誰かが成りを潜めて、世界を壊す為の準備をしている事なんて
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黒神白堊(プロフ) - ナミビアさん» いえいえ、お気になさらず (2018年5月6日 23時) (レス) id: ba11baa63e (このIDを非表示/違反報告)
ナミビア(プロフ) - 黒神白堊さん» いぇいぇ~突然スミマセン…! (2018年5月6日 22時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
黒神白堊(プロフ) - ナミビアさん» あー……そうだったんですか…すいません。 (2018年5月6日 22時) (レス) id: ba11baa63e (このIDを非表示/違反報告)
ナミビア(プロフ) - 黒神白堊さん» その事について聞きたかったです…! (2018年5月6日 22時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
黒神白堊(プロフ) - ナミビアさん» …?ああ、それならはい (2018年5月6日 22時) (レス) id: ba11baa63e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒神白堊 | 作成日時:2018年4月21日 16時