science212(熾織side) ページ39
__時は遡りローグの件から黄昏時
唐「…喜怒哀楽が、どうしたん?」
驚くような、困惑した様な声を上げたのは唐葉だ
眉をハの字に曲げ心の底から心配そうに
問いかける彼女に熾織は失敗したと思った
ここで話す様な事では無かった、せめて嘘を混ぜ込むべきだったか
口の中で盛大に舌打ちをかましていると
破魔がしびれを切らした様に
破「ならさっさと入れって事なんだけれど?
書庫に案内したいんだけど」
唐「待ちいや破魔!自分の話が終わっとらん!
喜怒哀楽どうしたんや!どう言う事や!説明せい!」
焦燥によって声を荒げる唐葉に対し
冷静且つ、絶対零度すら思わせる口振りで破魔は応えた
破「__黙れこの無能力者、この話に貴様が入る権限何て無い」
唐「ッッ!!」
「……」
言葉の矢を向けられてない自分でも思わずゾクリと寒気がした
12歳の子供らしくないそれは寒々しく、氷や鋭い刃を容易に想像させる
更に破魔は止めを刺す様にして
押し黙ってしまった唐葉に告げた
.
破「今からそこの陰陽師と最後の魔女と話すのは
ただの世間話でも談義でもない
__"世界の存亡を賭けた話"
ボクが態々スカイロームを命かながら通って
東都にやって来たその目的と一致する話だ!」
小生意気な顔だったそれから剣呑に帯びた表情へと変わる
そこで漸く熾織は気付いた。十魔破魔……彼は"男"だ
あまりにも中性的で背もそこまで高くない故に
声の高さも相まって、少女かと疑っていた
何故女の格好をしているのかは追々聞こう
言い終えた破魔は一度だけ見るとすぐ背を向けて歩き出した
多分、熾織に着いて来いと言っているのだろう
そのまま屋内に入った熾織は
玄関で立ち尽くす唐葉を見詰め、比較的優しい声音で
.
「うちの愚兄に何があったのか詳しくは言えん
だが、私はそれを解決する為に此所にやって来た
__安心しろ、兄さんの事は私が絶対に何とかしてみせるさ」
唐「!」
神浄家の陰陽師だからではなくて
一人の従妹として、妹として、家族として
さぁ、今こそ真相を知れ
そして全てが終わったら言ってやるのだ
「もう幸せになっていいんだ」と、「苦しまなくていいんだ」と!
.
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒神白堊 | 作成日時:2018年2月17日 8時