science201(光騎side) ページ28
＿＿時は首相官邸襲撃前、スカイウォールから程近い廃墟ビル屋上
紫｢ねぇミシェル、苛々しないで居辛い｣
ミ｢苛々するとも！何なんだあの生物学者！お前と同じ狐の血が流れているくせしてどんだけ凡人だ！｣
��｢五月蝿い、人間｣
紫｢ちょっと保護者さんアンタも何か言ってやってよ。＿＿光騎？｣
名前を呼ばれ壁に寄り掛かっていた光騎はハッとした
いけない、いつ敵がやって来るかもしれない状況下で思案に耽るなんて
術師である自分達は西都に続く
スカイウォールを監視していた
三人一組の交代制であり丁度当番が回ってきたのである
(戦場で物思いに耽る事何て暫く無かったのにな…)
唯一耽った時と言えば生前最後の戦いだ
円卓はバラバラになり国は緩やかな衰退の道を辿る最中であった
耽る事になった要因と言えば恐らく＿＿
.
ミ｢何だ、お前まだ"ローグ"を気にしていたのか？｣
騎｢うん…ちょっと｣
ローグ、基氷室幻徳のあの執念深き瞳だ
かつて東都を統べた男。上に立つ事を望んだ男
それはつまり王になろうした男である
そして一時的とは言え王となった
昨日の彼の姿が頭から離れない
全てを擲った様な、望みの為なら命すら捨てると言わんばかりの瞳
…恐怖した
生前幻想種の獣やドラゴンを悉く
倒して来たかの王ですら一人の人間に恐れた
それと同時に思ったのだ。嗚呼、もしかしたら自分は＿＿
.
｢……俺、あんな風だったのかな？
国の為に生きていた人生だったけど…もしかしたら
ブリテンの民には俺がああいう風に見えたんじゃ…｣
そう呟いて腰に差してある武器＿＿カレトヴルッフを撫でる
十の頃、ミシェルが全ての知識を総動員させ光騎の為に作った霊装がこの剣だ
自分はこの剣を｢カレトヴルッフ｣と名付けた
その名はかつて自身が抜いた選定の剣と同じ
｢エクスカリバー｣はカレトヴルッフが湖の乙女によって鍛え直された時の名だ
故に光騎は名付けたのである
…まだ王として＿＿"アーサーと呼ばれる前に抜いた"その剣の名で
アーサーではなく幼名であった
アルトリウスの時に抜いた剣を名付けて
アーサーの名は捨てた
それは何故か、そんなの答えは簡単だ
士王光騎は＿＿アルトリウス・ペンドラゴンは…
.
王であった事を、酷く悔やんでいるのだから
.
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作者名：黒神白堊 | 作成日時：2018年2月17日 8時
