お助け ページ11
「じいさん、そいつ困ってるよ。離してあげたら？」
上からそんな呆れた声が聞こえて
「おお、それはすまない」
と三日月さんはあたしをぱっ、と離した。
「あ、でも…その、撫でられるのは嫌いじゃない……です」
あたしが言うと先程の人――オシャレな赤と黒の服を着た彼は隣に腰を下ろしながら
「あんた絶体いつか漬け込まれるよ…」
と言った。
「ふふ、こう見えて大人だから平気だし！」
どやっ、と胸を張って言うと彼は呆れた目をした。
「……(じーっ」
「な、なに…？」
「いや、国広の兄弟にしては美人だなーって」
「……どの国広…？」
あたしを含めていっぱいいるからね。
「あれ？知らない？俺、加州清光。前の持ち主が堀川の持ち主の仲間だったんだけど」
「へぇー。そうなんだ！あたしは今日久々に兄弟達に会ったから」
詳しいことは知らないんだ、と告げるとふぅん、と気のない返事が返ってくる。
あたしは加州くんから目を剃らし、楽しそうにしてる鶴丸さんやそれを眺めて微笑んでる三日月さんの方を向く。
「ねぇ、加州くんの前の持ち主ってどんな人だった？」
訊くと加州くんは目をぱちくりさせたので慌てて、嫌だったら話さなくていいけど!と付け足す。
「……変わった人。冷酷無慈悲って言われてた。……けど、俺からすれば扱いにくい俺すら愛してくれた優しい人だったな」
彼の声が少し湿り気を帯びる。
「そっか…」
「まぁ、今の主も可愛がってくれるから不満はないけど――あ、主様っ♪」
加州くんは急に猫なで声になると主様の方に駆けていく。
「……」
その後ろ姿を見ながら私は追憶に少し意識を落とす。
私の、前の主様は――
『――A』
脳内に彼の声が響いた瞬間ぞくりとした悪寒が脊椎に走った。
――気持ち悪い。
強烈な嫌悪感を抑え込みながらぐっ、と手のひらを握り締める。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
陰浦 - いつも見ています！まんばかっこいいですね〜。更新頑張ってくださいね！ (2017年3月5日 7時) (
レス) id: 15f125b34f (このIDを非表示/違反報告)
狐火＠きつねうどん(プロフ) - 影星(白銀竜)さん» ありがとうございます。更新＆返信、非常に遅れてすみませんっ！もうちょっとで完結なので、飽きない限り応援いただけたら嬉しいです！ (2016年3月13日 23時) (レス) id: c8a407e76f (このIDを非表示/違反報告)
影星(白銀竜)(プロフ) - 続き凄く気になります！更新頑張ってください♪ (2016年1月8日 2時) (レス) id: 680da25cf6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：狐火 | 作者ホームページ：
作成日時：2015年7月31日 11時
