復讐のレクイエム2東京編 (ページ9)

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使用人過去編1 ページ9

北園寺羚side

授業が終わりいっせいに帰宅する｡

あいつらに呼び止められる前に俺とのえるはこそこそと玄関に向かう｡

生徒で溢れかえっている下駄箱に灰色の男が現れた｡

「リゼー！」

のえるが駆け寄る男はよく知っている

付き合いの長い男

リゼルハーコート

俺と目が合うと俺に一礼をし、(お車にお乗りくださいませ)っと無機質な声で告げる｡

黒いスーツにはシワ一つないそれに対照し灰色に靡く髪黒いメガネ越しからは両親の遺伝と言わんばかりの真っ青な切れ目が写し出されていた｡

車に乗る直前ひそひそ声が凄い｡

「やばっメガネ萌え！」

「ぐへへ、しょた萌～」

など…危ない奴らが沢山いる西園寺のえるを守らないとな

さぁてと、車に乗り込んだのはいいが…本拠地に戻るのは車でも時間がかかる

１時間ぐらいか？…目をスーッと閉じ俺は昔の事を思い出した。

ーー四年前ーー

蜂屋レオは、西園寺家の執事長を十年務めいる

西園寺家に忠誠を尽くしてきた。

　そのため西園寺家の信頼もあつく、この家の執事に関する業務をすべて管理して、いまでは雇用や解雇まで一任されているほどだ。

レオの朝は忙しい。他の執事たちは年若く、頼りなくて、レオの手助けが必要な者ばかりだからだ。

「ルカ。玄関の掃除が不十分だぞ、早く手を動かせ！今日中に花瓶の水を変えておかないと、明日には萎れる！」

「洗濯はまだ終わらないのか！？涼介！シーツが溜まっている一時間以内に干せ！」

「これで食器を磨いたつもりか！…全てやり直せ！」

　レオがてきぱきと指示を飛ばせば、若い執事たちは驚いたように目を丸くする。そのまなざしが気持ち良く、レオは勝ち誇ったように胸を張った。

(ふん。この俺ががさっと目を通すだけで、他の執事たちが見落とすような失敗にもすぐに気付ける)

　これこそ、長年真摯に勤めてきた人間だから出来る仕事ぶりだろう。
　レオにとって、ここは若い執事たちに尊敬のまなざしを注がれるべき場面だった。けれども使用人室に集めた彼たちは、ぐったりとした顔で俯いて、すぐに返事をしようとすらしない。

「ほら、どうしたの？さっさとしなさい！」

「も、申し訳ありません執事長。でも僕たち、もうくたくたで……」

「夜明け前の暗い時間から起きて、いままでずっと座らずに働いているんです。そろそろご飯などを…」

「はァ？だからなんだそんなもの、お前たちが悪い！」

レオは怠けている執事達に一喝をした。