復讐のレクイエム2東京編 (ページ17)

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使用人過去編9 ページ17

お菓子はすべて、リゼルによって用意されている。
　
主役のケーキはデコレーションの途中

大きな苺が一粒と、チョコレートで出来た飾り付けがひとつだけ載せられていた。

レオは残った苺を乗せて、ケーキの準備も整える。

紅茶のためのお湯を沸かし終えたら、ちょうどお茶会の始まる時間だ。

ーーーー

西園寺家の誕生日を祝うお茶会は、つつがなく進んで行った。

往年の友人に囲まれて、のえるはとても楽しそうだ。

その上に友人たちは、口々に今日のお茶会を褒めそやす。

「このクッキーとっても美味しい。暖かいお味ね」

「クッキーもほんのりと甘くて……いつもの執事が焼いたのでしょう？去年より腕を上げたのじゃない？」

「家でいつでもこんなお茶会が楽しめるなんて、羨ましいわ」

「光栄です長年我が家に仕えてくれた執事長で、僕も自慢なの」

旦那様はすっかり上機嫌で、奥に控えていたレオにこう命じた。

「レオそろそろケーキを用意してくれ」

「はい、旦那様」

ケーキを運んできて、テーブルにお披露目する。

チョコクリームの上につやつやと輝く苺が乗ったそのケーキは、シンプル

「こちらが今日のお菓子を作った執事さんなのね。このケーキもあなたが？」

「はい。旦那さまとご友人とのえる様の皆さまに喜んでいただけるよう、この私がスポンジを焼くところから、誠心誠意お造りいたしました」

「なかなかやるな」

のえる様の友人北園寺羚が尊敬の目を向ける

当然のものとして褒め言葉を受け取りながら、レオはケーキを取り分ける。チョコレートの飾りがついた一切れは、主役であるのえる様の分だ。

ケーキを配り終えると、レオは再び隅に下がった。

「わぁ～…ふわふわしておいしぃー！！」

「……お褒めに預かり光栄です」

リゼルのお菓子やケーキが、自分の焼いた去年のケーキよりも美味しい。
　
そう言われ、僅かに複雑な思いが走るが、それで自分が褒められているのだから悪い気はしない。

のえるたちは談笑しながら、フォークを動かしていく。

「昨日は羚のおうちに泊まってね今日は羚が泊まりに来るんだよ！それでねっ………」

隣に座っていた旦那様の手が、ぴたりと止まった