復讐のレクイエム

挑発前編 ページ8

泉川 愛 side

翌朝のHR。


「…西園寺アルムです！今日からよろしくお願いしま〜す!!」


担任に促されてニコリと満面の笑みで自己紹介をする転校生に目を奪われる。


何、この子。


マシュマロのように真っ白でやらわかそうな頬ふわくふわとした金髪。

日本人ではない事は確かだ。

パッチリとした大きな瞳。薄い唇。小さな鼻。


私達ではない制服から伸びる長く細い脚。


こんなに可愛い子が現実にいることが信じられない。


クラス一可愛かった美桜乃とは比べ物にならないほどのレベルだ。


ちらりと美桜乃に目をやると、美桜乃は悔しそうに転校生を睨みつけていた。

「西園寺さんは野村さんの隣の席に座ってください」


「あっ〜！みうちゃんの隣だ〜!!ヤッター!!」


担任の言葉に飛び跳ねて喜ぶ転校生。


それを見ていたクラスメイト達からクスクスと失笑が漏れる。


西園寺アルムって言ったっけ……？


中学生と言われればそれでも通るぐらいの童顔。


高校生にもなってはしゃぐなんてずいぶんアホみたい。

あーあ。今度のターゲットはこの転校生に決定かも。


あたし的にはまだまだ野村をいじめたかったところだけど。

てか、今？みうちゃんって言った？


「西園寺さん唇の色すっごい綺麗！」


中途半端な時期にやって来て、日本人ではなく外人だったため転校生にクラスメイト達は興味津々だった。


すぐにアルムの周りには黒山の人だかりができる。


「そう？僕ねー良くわかんないけど綺麗なの！パパも良くぷるぷるだなって言ってくるの」


「へぇ、そうなんだ！」


「うん！あっ、それとみんな『アルム』って呼んでねっ。早くみんなと仲良くなりたいから」


「うん!!あっ、アルム番号教えて〜!!」


「いいよ〜」



……高校生にもなってパパ？？


見栄張って可愛い子ぶってみんなに好かれようとしてバカなんじゃないの。

昨日ほどではないにしても、二人をいたぶってやろう。


学校へ来られなくなるぐらいまで追い詰めてやろう。


何がパパだ。


「マジうぜぇ」


そう呟いた自分の声は嫉妬にまみれていた


「ウッゼェー」


ポツリと独り言のように呟くと、「だよね」と誰かが続いた。


声の方に視線を向けると、腕を組んだ美桜乃が私の席の傍に立っていた。


「あのアルムって子、野村と友達なの？」


美桜乃の言葉に私は首を横に振った。


「知らない。やけに親しげだよね〜。」

「今日は休むと思ったのに」

美桜乃言うとおりだ。

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