現実･真実 ページ12
sideゾム
Aは俺の涙を拭いながら、さっきと同じ目で微笑む。
あぁ、さっきこの目は冷たいって言ったけどちゃうな。
この目は、悲しくて寂しいって目だ。
なんて、さっきの自分の思考を改めた。
ーーー
「ゾムさん私は、ゾムさんが好きだよ。」
しっかりと目を合わせて告げてくるA。
その目はあまりに綺麗で、俺は嬉しさや、恥ずかしさや、罪悪感で目を背けたくなった。
でもそっと頬に添えられた手がそれを許さない。
違うんやA、俺はお前が思ってる人間じゃない……
そう思う度に涙が出てくる。
その度にAは涙を拭った。
そして
「私はゾムさんがあの人達を殺してたとしても、ゾムさんを愛してますよ。」
Aはそう平然と言ってのけた。
自然と俺は目を見開き、今日初めてしっかりとAの目を見た。
するとAは軽く微笑んで、瞳の色をいつもどうりに戻していく。
『知ってたん…？』
俺の動揺が直に声に乗った。
するとAは頬から背中へ手を移して俺に抱きついた。
「確信に近い予想だと思ってた。」
彼女は静かに告げる。
俺は思わず
『俺、Aを護るためにそばにいたのになあ。
Aの全部壊してしもた。
最低やろ？』
なーんて、乾いた笑いをこぼす。
もう切ってくれて構わない。決心はつけた。
そう思っていると、Aに強く抱きしめられた。
「違うよ。ゾムさんはちゃんと私を守ってくれた。…一人ぼっちから引き上げてくれたのは間違いなくゾムさんだよ。ゾムさんが守ってくれなかったら私の心はもうとっくに砂みたいに砕かれてた。」
ゆっくり、思い出すようにAは言う。
「あの人達が私を本当に愛してたことは本当。だけど1番最初に私に愛をくれたのはゾムさんだよ。
曲がってしか人を理解できなかった私が初めて真っ直ぐ理解出来た。貴方は私の神様みたいな人なんだよ。だから最低なんて言わないで。泣かないでゾムさん。」
この言葉は、本当だ。
彼女は当たり障りのない嘘しかつけない。人を疑って生きたこの子は嘘が苦手だ。
だから、Aが囁いているこの愛の言葉は間違いなく現実だ。
俺は、仕事にしか生きてなかった。
仕事以外に興味があんまりなくて、なんで過ごしているかもよく分からなかった。暴れてスッキリ出来ればそれで良かった。
でも、それをAが変えた。
生きる意味を、君の横にいる為にも生きなきゃと思わせてくれた。
俺にとってもAは神様みたいなものだ。
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green(プロフ) - 転生後が見たいという欲が出てしまいました！ (2022年12月8日 6時) (
レス) @page16 id: 6733124b51 (このIDを非表示/違反報告)
うり - 泣きました…。最高に感動した、、俺は歪んだ性癖なのでこういう4ネタ？大好きです、、最後は幸せだったんだろうなぁ (2022年5月2日 11時) (レス) id: 0893c6b06a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つきまる | 作成日時：2018年7月4日 1時
